前穂高岳 北尾根

 

2005年9月17~19日

参加者 : 9 名

“あぁ~っ”
大きな音だったのか、どよめきだったのか、振り向いた瞬間3峰の岩場にいた男性が大きな岩と一緒に転落していくのが見えた。

その日(9/18)、前穂高岳北尾根は気持よく晴れて風もそれほど強くなく穏やかな日であった。混雑を予想して早朝4時に涸沢ヒュッテを出発。
昨日のルート工作が功を奏して、積んだケルンがきっちりと目印になり、ヘッドランプの光のなかでも順調に歩を進める。
5・6のコルで身支度を整えながら、登り始めた朝陽に今日の安全を祈る。
はるかに小さく奥又白の池がエメラルドグリーンに輝き、そばにテントがポツリとある。
さあ行こう・・
乾いた岩場は歩きやすく快適で、なんだか心が弾んでいる。
しかし、
北尾根の挑戦者は多く、3峰の登りは混んでいたので私たちはそのまま見晴らしのよい4峰の上で待つことにして、水分と行動食を補給する。
これから登る3峰のルートを見ながら、リーダーや先輩の話を聞くのも山の楽しみでもある。
その時、事故が起こったのだ・・・
目前の事故で動揺している私たちに代表は”落ち着いて”と声をかけてくれた。
“行くしかない”
慎重に・慎重にと自分に向かって言い聞かせながら・・・
待ち時間は、私たちにとって少しだけ気持ちの落ち着きを取り戻す大切なひと時であったかも知れない。
その後、
9人の大所帯は無事前穂高岳の頂きに立った。(14時)
お天気がよく肌をさすような日差しが照りつけているが、槍ヶ岳は雲間に隠れていて残念!
岳沢への下りも気の抜けないところである。
鎖場・ハシゴ・浮石と続く道々、大事にゆっくり行こう!と声を掛け合いながら下山する。
この時季、秋の花がところどころにあって濃紫のトリカブト・白い小さなイワツメクサ・サラシナショウマ・薄紫のノコンギクなどが咲いていて緊張した心を優しく包んでくれる。
岳沢ヒュッテ着(17:40)
今日はここに宿泊することになった。
夕食にワインを開けてみんなの無事を乾杯!!

冒頭の男性は事故からおよそ1時間くらいだろうか?
長野県警のヘリが迎えに来てくれた。
油断は禁物だと改めて自覚した次第である。
亡くなられた男性のご冥福を心からお祈り申し上げます。
合掌

S・K 記


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