槍ヶ岳(西鎌尾根)

 

2011年10月8~10日

参加者 : 5 名

錦秋の槍ヶ岳、古くから聞かれるなんと響きの良い言葉か。
そんな槍ヶ岳の正面を上高地・槍沢側と例えれば、裏側は新穂高・双六岳側となる。
その双六岳側から入山する計画を企てた。
この時期の計画書を立案するに当たり最大の注意事項が積雪である。
既に北アルプスに初雪の知らせは承知しており装備に慎重を期した。
かといって過剰装備では行動に制約があり、日の短くなつた秋では予定の山小屋にライトを付けての到着になってしまう可能性がある。
出発1週間前には状況確認の為、小屋に連絡をしてルートの把握。
更に出発2日前に雨が降り、現地ではどの様な状況なのか最終確認をとるなど慎重を期した。
幸い気温が高く雪は降ったが昼間に溶けたと聞き、アイゼン無しでの装備計画にして出発日を迎えた。
夏に笠が岳から鷲羽岳の幕営縦走山行で、年老いた身体に相当負担がかかったので、今回は小屋泊まりとした。
週間天気予報は行動中の3日間晴れの予想が出て、精神的にはこの点楽であった。

10月7日(金)

夜9時30分、新宿駅西口スバルビル前を車で出発。
中央高速に乗る。
3連休という事で府中までは混んでいたがその後は車の流れも順調で午前12時30分過ぎに松本インターを抜け、午前1時30分頃沢渡バス駐車場、当初沢渡で仮眠の予定であったが新穂高の無料駐車場が3連休で留められない事を警戒して沢渡は通過、午前2時過ぎに新穂高へ到着した。
予想が的中し無料駐車場は満車。
夏の合宿で散見した路上駐車をしていた蒲田川左俣沿いはコーンで路駐禁止。
やむをえず有料駐車場に入れようと探すが昼間の観光客用で無人で入れずうろうろ・・。
結局、新穂高のバスターミナルで午前6時まで仮眠する事になった。

10月8日(土) 晴れ

6時に有料駐車場に車を進めるがゲートの開く気配が無く待つ車の列が伸びる。
歩いて何処か止められるところが有るか偵察をする。
廃業しているホテルの前に止めて出発の準備をする。
ここに止められないと出発が大幅に遅れて、双六小屋に日没までに着かないと感じ、とっさの判断で決めた。
これで日没の到着にならない見通しがついた。
午前6時30分出発。
ワサビ平小屋まで1時間10分の道のり。
夏合宿に比べて1/3位の荷物で天気も良く気分はルンルンである。
ワサビ平から鏡池まで3時間30分。
小池新道を暑い陽気の中順調に進む。
途中、秩父沢では給水できるがここを逃すとその先で夏に出ていた沢は涸れていた。
午前11時40分予定通り鏡池に到着。
槍・穂高の山並みが澄んだ空気の中に秋枯色に浮き上がった。
撮影タイムと行動食時間で大休止。
いよいよ弓折岳2700mの稜線に向かう。
ここを越えればキツイ登りが一段落。
疲れもピークになる時間帯である。
夏合宿の雷雨に打たれ、重いザツクに疲労困憊の姿を走馬灯のように思い出す。
槍・穂高が登っている間、背中を押してくれているように感じ精神的に落ち込まない。
50分で弓折岳分岐に到着したが、笠ヶ岳方面はガスで見えない。
槍・穂高の稜線はすっきり見える。
思い出してみれば夏と気象現象が逆である。
これも秋の特徴なのか。
都会の忙殺される生活から一時でも忘れる事の出来る山の世界。
それも、北アルプス3000mの名峰槍ヶ岳の近くに居るからであろうか?
この場所にいると、人としての存在感を感じる。
時にはそんな哲学的な雰囲気にしたっている自分が滑稽である。
稜線に出てからは2時間弱で双六小屋。
日陰部分に先日降ったなごり雪が標高を感じさせる。
午後3時前に予定通り双六小屋に到着した。
予約をしてあったので個室を提供してくれた(4人部屋に5人)。
連休なので混むのは覚悟していたが個室なので心配事は解消。
5時の夕食後は明朝午前5時出発に合わせて早めの就寝。

10月9日(日) 快晴

午前4時起床
朝食の弁当を部屋で取り、明けきらない午前4時45分に樅沢岳に向けて出発。
夜明け前の午前5時30分に山頂。
ご来光を待つ。
氷点下5度前後で風が多少ある為、ジッとしていると寒くてたまらない。
午前5時45分に神々しく北鎌尾根の末端付近から日が射し込む。
秋空の中快晴。
槍ヶ岳が神々の山稜、西鎌尾根・北鎌尾根を従えて毅然として聳えている。
槍ヶ岳を正面に見て、背面に双六岳・三俣蓮華岳が赤く染まり、秋山に色を添えている。
そして、圧巻は乾いた岩の秀麗な鷲羽岳。
夏とは岩肌の色が全く違う。
山の神秘に慕っていると時間が過ぎ、きりが無いので槍ヶ岳に向かって歩を進めることにする。
4時間の道のり。
千丈沢乗越までは大きな上り下りもなく稜線漫歩。
暑く無く寒くもなく、所々なごり雪を見る程度。
荷も軽いので快適に歩む。
千丈沢乗越から一気に大槍に向かって高度を上げる為、乗越で小休止。
後に下降に使う飛騨沢が良く見える。
飛騨沢の右手には中崎尾根が奥丸山まで続いている。
いよいよ2時間をかけて大槍に向けて登り出す。
肩の小屋が上の方に見えるが時間がかかる。
何度も登っている槍ヶ岳であるが西鎌尾根から小槍を眼前にするのは35年ぶり。
ずーと昔の5月槍ヶ岳集中以来である。
午前11時に肩の小屋に到着。
今まで見てきた風景と全く違う槍沢方面がパノラマで目に入って来る。
昨年までは槍沢の風景は当たり前のように見てきたが、今年は新穂高側からの入山が多かったから新鮮に見えたのであろう。
風も無く、行動食をとりながらほんの一時だけトカゲ状態。
横尾尾根・天狗原へのルート。
2年前の秋に行った横尾本谷右俣の思い出がここでも走馬灯のように思い出す。
今回の山行が心へ染み渡る安らぎを与えてくれている。
叙情的な雰囲気の中に慕ってばかり居られず、天候も良いので槍ヶ岳山頂を目指す。
登山者は多いが順番待ちと言うほどでは無く30分で山頂に。
相変わらず山頂はごった返しており、北鎌尾根からの登攀者もいた。
山頂の祠での記念撮影は順番待ちという初めての経験をした。
直ぐ下山し、午後12時10分肩の小屋を後に飛騨沢から槍平小屋へと向かう。
下降に使うのは始めてであるがよく整備されており、大きな段差の無い歩きやすい道である。
午後3時30分に本日の宿である槍平小屋に到着。
今シーズン宿泊者を受付するのが最終日という事で混むかと思っていたが予想に反した。
小屋は新築してすこぶる環境が良い。
夜は掛け布団一枚でも暖かく、トイレも綺麗で水力発電のため非常灯がLEDランプで明るい。
環境を配慮した小屋である。
夕食を終えて、明日に備え8時に就寝。

10月10日(祝) 快晴

テント泊と違って小屋泊まりは朝夕やることが無い。
特に朝は早く目覚めても、この時期は外は真っ暗で寝床で目をつぶっているだけ。
朝食は5時30分から。
退屈なので5時には起き始め荷物の整理を始める。
朝食後午前6時、新穂高温泉にむけて出発。
5月の残雪時にしか歩いた事が無い蒲田川右俣谷。
小屋のスタッフが整備している関係で歩きやすい。
滝谷出合いまで1時間。
その先、白出沢出合いまで1時間と予定通り通過する。
白出沢から新穂高まで1時間30分。
荷が軽いと負担が少ないので、行動全てに時間が読める。
予定通り午前10時に新穂高温泉に到着。
荷物の整理も無いのですぐに東京に向けて出発。
3連休の最終日なので高速道路の渋滞を警戒して、松本まで1時間40分で高速道路に乗り、諏訪サービスエリアの温泉に行く。
入浴後、東京に向かうが大月を越えると渋滞にはまり、それでも全体に早めの行動だったので午後5時30分に新宿に到着。

今回の秋山合宿を終えた。

Y .  F 記


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