晩秋の仙丈ヶ岳

 

2011年10月29日

参加者 : 3 名

晩秋の3000m、仙丈ヶ岳は山頂まで短い日程で行ける良い山である。
戸台から北沢峠まで戸台川に沿ってマイクロバスはスーパー林道を登って行く。以前は戸台川に沿って川原を歩いたが、時代が替わりバスの中から険しい谷の景色を堪能させてくれる。
鋸岳を見ながら35年前に角衛沢から登った思い出が脳裏に蘇る。
今回は夜行日帰りの山行なので天気の良い土曜か日曜の日程で組んだ。
例によって1週間前から地元の週間天気と天気図を毎日確認しながら、最終的に土曜日が晴れると確認し実行に移した。

10月28日(金)

夜9時30分、新宿駅西口スバルビル前を車で出発。
中央高速に入ると車の流れは順調で午前12時過ぎに伊那インターを抜けた。
戸台までの道は初めてで不安だらけ。
途中、2度地元の人に道を聞き、午前1時30分過ぎに戸台の仙流荘前バス駐車場に到着。
午前5時まで仮眠。

10月29日(土) 晴れ

仮眠後5時に起き、バス停の順番待ちのベンチにザックを置き、始発の6時まで朝食時間として車の中で待機。
5時半すぎると周りの車からハイカーが動き始めたので我々もバス停に向かう。
既にザックを置いてあるので席順は1番から3番を確保。
1番バスで午前5時50分に戸台を出た。
スーパー林道を運転手がガイドを兼ねて廻りの景色を説明してくれるので眠る事が出来ない。
というよりは山の地学、甲斐駒ヶ岳(東駒ヶ岳)、鋸岳、仙丈ヶ岳の出来るまでの歴史、森の植生の説明など好学的な話が聞いていて楽しい。
山岳地帯を走る路線バスとしては希少である。
出発して45分で北沢峠に到着。
長衛山荘が目の前にあり、山小屋というよりは白馬周辺にあるプチホテルといった感じある。
此れもスーパー林道の出来た恩恵であろう。
ここまでは観光客が芦安方面から、そして伊那側からも訪れる。
しかし、上高地の山岳観光地のようにはこれからも俗化しないであろう。
登る準備を終え、午前7時に出発する。
よく整備された森林帯の登山道を1時間30分登ると大滝の頭(五合目)更に30分登りつめると森林限界を超え、景色が一気に広がる。
抜けるような秋空に甲斐駒ヶ岳(東駒ヶ岳)の全貌が見える。
さらに30分詰めると小仙丈ヶ岳のピーク2,855mに到着。
北沢峠より2時間で着いた。
いつもより速いペースと思っていたがハイカーは我々の横を抜いて行く。
恐るべき体力を痛感すると言うよりは我々が年を取って体力が落ちただけなのであろうか。
しかしながらマップタイムより30分早い。
やはりハイカーが凄いのである
小仙丈ヶ岳で時間をとる。
帰りのバスは午後3時という事で時間調整。
山頂までも時間を調整しながら、晩秋のアルプスをゆっくりと登る。
ところが、下山でとんでもないアクシデントに会い、後半は早足での下山となる。
小仙丈ヶ岳~山頂までは1時間強で着いた。
天気に恵まれた今回は、風も穏やかで3000mの南アルプスを満喫する。
休憩時間を含んで4時間で仙丈ヶ岳山頂に午前11時に到着。
360度の景色。
富士山、南アルプス南部、北アルプス、上越、妙高、中央アルプス、秩父、そして正面に八ヶ岳。
八ヶ岳から甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳を眺める事は多かったが、南アルプスから八ヶ岳を眺めると感無量である。
山は同じ領域でも全く感じ方が変わり、更に四季やその日の天気、風により受ける叙情が変わる。
残った人生の山歩き、時間が限られるがまだまだ登っていない日本の山々に憧れを感じる。
山頂で40分近く、降り注ぐ柔らかい光と頬に当たる風の優しさに浸る。
午前11時45分過ぎ下山開始。
仙丈小屋に15分で到着。
小屋締めをしており山も冬の準備に入った。
下りは沢通しの北側に当たる為、部分的に凍りついているが別に支障は無かった。
馬の背ヒュッテを12時45分通過し、藪沢小屋経由で大滝の頭(五合目)に向かう。
途中、藪沢の支沢3mを渡るが凍っており、これからの道中に嫌な予感が頭の中を走る。
この支沢を注意深くステップを拾って通過し10分で藪沢小屋を通る。
すぐにまた支沢が出てきた。
今度は5mの幅があり左側の谷側が落ち込んでいる。
そんなときに沢の向かい側の上部から声がかかり、1人のハイカーさんから沢を渡渉する時に滑って谷に落ちてしまい、運良く途中で引っかかって止まったと説明してくる。
アイゼンは持っていないとの事で無理をすると感じた。
我々は軽アイゼンをすぐにつけて渡るがNさんのアイゼンが4本爪で氷に全く歯がたたず滑って危険となり、ロープもピッケルも無いので氷を削る事も出来ずこのルートを避け、来た道を戻り藪沢本流の沢通しコースで行くことに変更。
時間は20分長くなるが3時のバスに乗れるか賭ける事にした。
乗れなくても4時の最終バスには十分な時間が有るので心の余裕はあった。
支沢から戻る途中、多くのハイカーとすれ違うがアイゼンを持っていないのが当たり前。
状況を説明すると、すれ違った皆が藪沢本流コースの下降に変更した。
藪沢の分岐に戻り道標に導かれて大平山荘に向かう。
マップタイムは2時間。
3時のバスは北沢峠始発。
大平山荘は北沢峠より5分ぐらいでバスが通過してしまう。
逆算すると藪沢分岐での我々の持ち時間は1時間40分。
これに挑戦するためには早足で歩く必要がある。
谷川岳一の倉の登攀後、巌後新道を走って下った時の様になった。
沢通しのルートなので歩きづらく、それでもハイカーを抜いて行く。
登りと逆である。
稜朋会の会員は本当に下山家が多いと認識した。
休みも取らずに大平山荘に1時間30分で午後2時40分に到着。
ここで北沢峠まで登り返すと疲れるのでバスの通るのを待つ事にしたら、下から回送のマイクロバスが上がって来て、無料で北沢峠まで乗車させてくれた。
3時のバスに15分余裕でバス停に到着。
乗車後午後3時前にバスが出たので戸台の駐車場に4時前に着き、荷物整理をして、午後4時すぎ伊那インターに向かう。
帰りは全く迷わず40分で高速に入り、多少渋滞があったが午後8時30分に新宿に到着し、晩秋の3,000mの山旅を終えた

Y .  F 記


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