奥深き名山 大佐飛山

 

2012年4月14~15日

参加者 : 3 名

無雪期には石楠花と熊笹の藪漕ぎで、黒滝山から大佐飛山へ行くのは至難の業と言われ、殆んど記録が無い。
それ故に、雪のある時しか大佐飛山への道は開かれない。
那須連邦の裏側山域にある為、天候が冬型だと荒れることが多く晴天率が低い。
ルートは黒滝山までは標高差900mを1本調子に登って行くが支尾根が入り込み、地図とコンパスの読図が求められる。
黒滝山から大長山へは森林帯と支尾根が多くなりアップダウンが増える。
ラッセルと嫌な踏み抜きから逃げたい為、方向感がおかしくなってくる。
今回は天候が良かったから赤布を探しながら進めたが、視界が悪い時は苦戦を強いられる。
大長山から大佐飛山へは森林帯から開放され那須・日光・福島の山並みがパノラマに展開されて今までの苦労が一気に報われる。
歩行距離17.5km、平均所要時間11時間。
トレースがある時の時間であるが、今回のように前日に雪か降るとラッセルとなりトレースを作るのに踏み抜きが激しく体力を相当消耗させられ、12時間の行動を強いられた。
そのような理由で、トレースが無いと登頂できる確立が低くなる。

2012年 4月14日 雨
午前8時に武蔵浦和に集合。
雨が強い。
登山口で雨が降っていたら翌日の好天に賭けて、相当きついが日帰り山行に変更する案を事前に2人に説明し、留守部隊に了解を得ていた。
テントを担ぎ上げる計画の為、全員の大きなザツクを車に積み込む。
計画を変更した場合、那須の山荘で懸垂下降やロープワークをレクチャーする為に、ハーネス・エイト環・ロープ・カラビナ等も積み込む。
栃木県に入っても雨が止まず、午前10時30分過ぎに黒磯インターを出て、登山口の百村の町に向かう。
一般道を30分で百村町へ。
ここから登山口へは南側の巻川林道を使うが土砂崩れで通行不能の為、北側の木ノ俣林道を使用することにした。
北側の為に雪の残る期間が長く、この時期チェーンを着けて通行可能かを営林署・役所・大佐飛山の問合せ場所となっている黒磯山岳会に電話で確認するが、毎年林道の残雪量が違うとの事で明確な回答が得られなかった。
木ノ俣林道へ続くニューこめやホテル前の細い林道口から入る。
雨がここでも止まず舗装道路とガタガタ道の繰り返しで高度を上げていく。
あちこち道路に落石があり、乗り上げてバーストをするのを注意しながら900mまで上がる。
道路上に雪は無く取り付きのアルミ梯子に午前11時30分に到着。
車が1台停まっていて、出てきた人がYさんのハイキングクラブのリーダー会員夫妻であった。
テントを持ってきたが雨の為今日は登らず、明日朝3時から日帰り登山に変えたとの話で我々と同じ事を考えていた。
下見が出来てチェーンの心配も要らない事がわかり、取り付きまでの黒磯インターからの時間も判ったので那須の山荘へ向かう。
那須高原経由で1時間にて午後12時30分那須山荘に到着。
食事をとり午後1時30分から新人AさんとYさんにロープワークのレクチャーを行う。
エイトノット(末端結び・中間結びでの八の字結び)・ダブルフィッシャーマン結び(末端処理の大事さ)・プルージック結び(巻数の違いによる制動力の違いを8㎜と11㎜で体験させる)・ビナ通しにての登下降とプルージックとのコンビネーション。
座学で1時間30分繰り返し2人へ教授する。
コーヒーブレーク後、新人にハーネスを実際に着けてもらい、緩みはないか・ベルトの折返しの確認の意味を説明し、着けては外しの繰り返しで確認する。
最後にエイト環を使ってロープの通し方、ハーネスへの着け方・セルフビレー用のスリング使用(既製品のディジーチェンの購入)とのコンビーネーションをレクチャー。
今度は11㎜の折返しロープと9mmの折り返しロープを2階から階段下に垂らし、必ずセルフビレーを取ってから11mmロープの懸垂下降の準備に入る事、エイト環へのセットの仕方をレクチャーする。
捻じれた場合・利き手の位置、絶対に離してはいけない手、ハーネスの安環の確認等、死と直結するので手抜きはないように説明する。
懸垂下降のセツトが完全かを確認後、セルフビレーを外しゆっくりとエイト環にテンションを掛けてメインロープが岩角に触れてから、エイト環に荷重を掛けることを階段を使って身体で感じさせる。
初めての経験なので階段でも恐怖があり、繰り返し学習することで身体が階段に90度位傾けられるようになり、ハーネスとエイト環に信頼が置けるようになった。
30分やっていると楽しくなって今度は9mmロープで試すと流れが早い事が判り、そこでプルージックとエイト環とのコービーネーションをやらせる。
足が着く岩場帯や沢ではもしプルージックがロックした場合の緩め方をレクチャー。
慌てない事と下側の利き手は絶対に離さないでロックを解除する旨を実際にロックさせて体験させる。
二人に2時間30分山荘内で実際にギヤーを使って身体で体験学習してもらった。
午後4時から小雨降る中雨具をつけて山荘近くの6m近いコンクリートの壁で11mmロープを垂らし、セルフビレーを取ってからエイト環による懸垂下降を実際にレクチャーする。
ここは階段とは違う事を認識させ高さは岩場ほど無いが真剣そのものになる。
新人にとっては恐怖が先にたち一歩目がなかなかでない。
壁に平行になりがちで爪先立ちになり、下からYさんに壁に靴底を着けるように言われながら何度も下りては懸垂下降を繰り返し、雨を忘れて没頭する。
後半は全く安心して懸垂が出来るようになり楽しくなったとの感想。
40分程で壁での実技を終えた。
午後5時暗くなり始めたのでロープ講習を終えた。
濡れた身体を癒す為に温泉に入り、山荘に戻ってYさんの鍋料理を堪能。
明日の天気に期待し夜9時就寝。

4月15日 快晴
朝2時に起床。
夜空を見ると星空。天気は期待通りに良くなった。
荷物は前夜に整理してアタックザックに入れてあったので、朝食のみの準備となる。
Aさんは初めての山での食当。
真夜中に朝食の準備をするなど人生初めての経験。
昨日の練習と言い、真夜中の起床など新人にとって山岳会は別世界に感じてる事と思う。
朝食を終えて午前3時、山荘内を整理して定刻に出発。
那須インターから入り即、黒磯インターを出た。
後は昨日下見をしてあるので深夜一般道を午前3時40分に登山口に着く。
ビックリ、既に登山口周辺には車が20台近く停まっている。
車内に明かりが灯っている車もあるが大方の車は寝ている。
夜明けを待っているのか?トレースの出来るのを待っているのか?
我々はヘッドランプを点けて午前4時05分出発。
最初の高度差200mは急登で、タイガーロープを捕まりながら雨上がりの為、滑って滑って最悪。
30分で尾根に出て雪が出始める。
1時間後には完全に雪ルートとなる。
先行はYさんの友人が1時間前にスタートしており、我々の20分先に栃木の2人が歩いている。そして我々。
三石山を踏む頃、夜明けを向かえ快晴となる。
2時間程トレースのついた雪道を行くと先行の4人に追い着た。
ここからは3組が交代のラッセルとなる。
午前7時30分、黒滝山1754メートルに3時間30分かかって到着。
さらに西村山へ向かう、踏み抜きがひどく体力を消耗するがYさんが頑張る。
栃木の男性2人も頑張ってラッセルしてくれる。
午前9時45分、大長山1866mに到着。
ここを抜けると景色が一転して那須の山々がパノラマに見え、今までの苦労が吹っ飛ぶ。午前10時45分に深き魅惑の山 大佐飛山山頂1908mに登頂する。
ラッセルして本日4番目の登頂者になる。
新人にとっては価値ある登頂になったと思う。
その後トレースに助けられて10人ぐらい上がってきた。
ラッセルのお礼も言わずに・・・。
午前11時下山開始。
トレースがあるので順調に下るが 雪の踏み抜きは溶けはじめと重なり相変わらず。
新人のAさんはへろへろ、Yさんは流石に強い。
笑って踏み抜きには耐える。
午後4時、脚が捧になって12時間の行動を追えた。

帰途に着くと、眠くて途中のサービスエリアで仮眠を取りながら午後8時30分浦和に着き、長い一日が終わった。

Y . F 記


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