剣岳 長次郎谷左俣

 

2012年8月4~6日

参加者 : 3 名

久しぶりの剣岳夏山合宿。
新人N君を交えて、映画『剣岳・点の記』で脚光を浴びた長次郎谷左俣からのルートを辿った。
いつもながら富山地方の週間天気予報は日一日と変る。
下山日は雨でも構わない。
兎に角、アタック日に雨マークが付かないことを祈りつつ出発。

8月3日 曇り時々晴れ
午後10時武蔵浦和駅前を定刻に出発。
立山駅前の駐車場が混むことを見越して、ドライバー交代のみで午前4時過ぎに立山駅前の駐車場に到着。
ケーブルカーの動く時間まで仮眠をする。

8月4日 晴れ
午前6時30分のケーブルカーに乗り、高原バス経由で室堂に午前7時30分に到着。
天気は快晴。
予報以上の大当たりである。
明日のアタック日まで晴天がもつことを祈りつつ朝食を取り、午前8時30分出発。
観光客に混じり雷鳥沢まで高原漫歩。
天気の良い室堂は雪の季節も夏の季節も飽きの来ない良い場所である。
新人N君は初めて来たので雄山の雄大さ、奥大日岳の秀麗さに喜んでいる。
40分で雷鳥沢キャンプ場着。
昨年の5月合宿が思い出された。
5月は小屋を含めた全てが雪の下で山々の景色が白一色だった。
それと比較して夏は緑の多い雷鳥沢。
心が癒される。
此処から剣御前まで2時間の急登。
何度も登っているとは云え、毎度の事寝不足の初日と夏の太陽に照らされて首に疲労が加わる。
疲労が蓄積する頃、剣御前小屋が見えてホッとする。
剣御前小屋の前に立つと、剣岳がドーンと腰を据えた姿を見せる。
ここから1時間弱で三田平テント場に。
午後1時前にテント場着。
お盆前なので混んではなく、水場に近いところにテントを張り終える。
予想より早くテント場に着いた関係で、風も弱く午後4時までトカゲで時間を潰す。
4時過ぎに散歩がてら剣沢小屋にビールを呑みに行く。
ビールを片手に「雪と岩の殿堂剣岳」と書かれた看板を見ながら、青空に映える剣岳を新人N君に説明。
彼は心の中にどのように留めたのか・・。
風か無いので、周りのテントでは外で食事をしている。
5時頃に食事をとり、午後7時過ぎまで明るいテントの中から剣岳を眺めつつ時間がゆっくりと過ぎていく。

8月5日 快晴
午前2時30分起床。
月明かりに剣本峰が浮かび上がっている。
岳人にとって一番気が引き締まる時である。
アタックできる。
食事を取り午前4時に出発。
剣沢を下降する。
例年よりといっても5年ぐらい前に行った八峰上半の時より雪が多い。
剣沢の雪渓に降りてすぐにアイゼンを装着。
今回は12本爪なのでよく利く。
平蔵谷の説明をN君にしながら、源次郎尾根の取り付きには1パーティしかいない。
1時間で長次郎谷の出会い。
長次郎谷に入ると八峰フェースのクライマー以外に人が多い。
我々のように、雪渓を詰めて稜線に出るのだろう。
中には、迷いハイカーと言ってよいような人が雪渓を登っている。
2時間かけて熊岩手前まで来る。
熊岩の左側の雪渓を登っている登山者が動きを止めている。
どうやら、クレバスとシュルンドが開いていて前進できない様子である。
暫くして戻ってきて我々と合流。
一方で、長次郎谷右俣の雪渓上部にも登山者がおり動きが止まっている。
そのうち、こちらも下山を始めた。
こちらも、クレバスやシュルンドが大きく口を開けている様子である。
我々は前日に剣沢の警備隊で、右俣はクレバスが大きく登れないと聞いていた。
また、左俣も途中にクレバスが開いており、熊岩の上を右からトラバースして左俣上部に入るようにアドバイスを受けていた。
また、上部が急な雪壁となるので、12本爪アイゼンが望ましいと言われていた。
熊岩上部でハーネスを装着していると、月稜会の女性2名パーティ?がおり動きが止まっていた。
ハーネスも無く、ロープも無いとの事で不安がっていた。
左俣から戻ってきた単独行の青年も装備が全く無く、不安がっている。
途中で詰まったら、ロープを装備しているのでサポートをしてあげると声をかけた。
我々は行動食をとりストックからピッケルに切り替え、Fがトップで急勾配の雪渓を登りはじめる。
スリップすると止まらない勾配であるがスターカットで登る程、雪はクラスとしていない。夏の雪なので蹴りこんでピッケルの石突、場合によってはピックを雪面に刺して登れる。
30分位この状況が続き、雪壁が見えてきた。
間近に行って判ったことは、小さなクレパスが開いており2m少しの段差の壁になっていた。
衝撃でクレパスが広がることを予想してルートを探る。
小さなシュルンドの開いている左岸の岩場を2m登り、上部雪渓にステップを切り、ピッケルのピックを雪面に打ち込ので、このピックのホールドに託し加重をゆっくりと懸け、出歯を蹴りこんでスタンスを保ち、雪渓の上部に詰め上がった。
後続をロープで確保して登る。
他のロープを持ってきてない2パーティも我々のロープで、登り方を説明しながら上げる。
ここから15分ほどで長次郎谷コルに飛出し、アイゼンをはずす。
技術的には不安は無いが装備が無いと登れない。
やはりバリエーションルートなのである。
ハイカーさんが、真砂沢からクライマーの後について、剣沢と間違えて長次郎谷に迷い込込んでいた。
我々がロープを回収した後で、下から軽アイゼンで登っている人に、「ここは何処ですか?」と聞かれた。
唖然としたが、サゼッションのしようが無い。
後続のパーティがロープを持っていたので、サポートをお願いして、我々は上部に向かう。
長次郎谷コルから20分ほどで午前10時30分に山頂着。
新人のN君には感動の一瞬であったと思う。
天気は良いし風は無し、最高のクライミング日和であった。
30分のんびりしてハイカーさんで混雑している別山尾根経由で下山する。
途中カニの横ばいで鎖にカラビナをかけたビナ通しの実践を行い、安全対策を教える。
3時間かけて渋滞の中、午後2時に三田平に到着する。
夕方から雲が多くはなり、ときおり雨がパラパラ落ちてきた。
夕食を終え翌朝は早いので午後7時過ぎに就寝。

8月6日 曇り時折雨後晴れ
午前2時起床。
夜中に雷が遠くに聞こえテントにも雨が時折落ちてきた。
雨の止んでいる時間も長いので、雨具無しで出発出来ることを祈りつつ食事を終え直ぐにテントを撤収。
午前3時30分、剣御前に向けて出発。
1時間でまだ暗い剣御前小屋に着く。
直ぐに雷鳥沢に向かい下降開始。
多少荷物が軽くなったので快調に進み1時間ちょっとで雷鳥沢に到着。
室堂には午前6時45分に到着した。
朝1番の高原バスが8時なので少し余裕ができた。

途中の温泉「吉峰」が朝10時開場なので、時間調整をして汗を流しさっぱりする。
空いている高速道路を東京に向けて走る。
途中、N君を花園ICで降ろし武蔵浦和に午後4時30分に到着。
今年の夏山合宿は終わった。

Y . F 記


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