七倉岳とランプの山小屋(船窪小屋)

 

2012年10月6~7日

参加者 : 6 名

ランプの山小屋として名高い船窪小屋に泊まって見たい。
そんな気持ちになったのは昨年夏であった。
NHKテレビで放送され、小屋の主であるご夫婦と背景に映し出される後立山の山並みの近さ。
小屋は30人しか泊まれない小さな山小屋である。
そんな山小屋が標高2500mの後立山の山域にあることが不思議であった。
何故不思議に感じたのかと言えば、テレビ放映された山並みが素晴らしく美しいのに、増築無し、発電機も使わない、水は遠くの沢から担ぎ上げてくる毎日で山小屋を切り盛りしている。
おそらく放送前まではあまり知られていない山小屋であったのであろう。
主の話では山小屋自体は赤字であり、増築はしない、これからもランプの灯りを続けてゆくらしい。
いつまでもそうあって欲しいと願うのは筆者だけでは無いと思う。
それ程今では希少価値の山小屋である。
電源が無いから朝夕の冷えは掘り炬燵と小さな石油ストーブのみ。
寝床は狭いフロアーを一段上がって上昇暖気をうまく利用して暖房にしている。
思ったほど寒くは無い。
雪洞の構造である。
夕方ランプに火が灯ると薄暮の中に立山・五色が原・黒岳(水晶岳)がなんとも言えない雰囲気を作り出す。
山波がつくる叙景と人間の素直な情感が正にコラボーレーション。
言葉など要らない。
片手にアルコールを持ち、囲炉裏の火を見ているだけで此処に来た価値を感じる岳人も多いことであろう。
料理は山小屋とは思えない献立でご夫婦のお母さんと呼ばれる70過ぎの婦人がてんぷらを揚げてくれた。
食後のデザートまで出てくるなど今まで経験した事の無い山小屋料理である。
インターネットで多くの記録を見たが、実際に目の前に出されると品数も味も全て想像以上に素晴らしかった。
夕方6時過ぎに、囲炉裏を囲んでお茶会が催された。
筆者は午後2時頃から小屋の外で小宴会をしていて、アルコールが睡魔を呼び遠慮した。
参加者の話ではランプの明かりの下で良い雰囲気のお茶会だったらしい。
良くある、自慢げに話すハイカーさんも居なかったらしい。
是非、次に機会があったら参加したい。

10月5日
午後11時新宿駅西口スバルビル前を定刻に出発。
通例より1時間遅い集合時間だったので、睡魔を心配したが今回はドライバーが多いので安心。
あまり休まずに豊科インター(帰りは名前が変わり安曇野インターに)を出て午前3時30分前に七倉温泉の無料駐車場着。
連休なので駐車場はほぼ満車。
直ぐに5人用テントを張り6人が入る。
荷物を入れないので、思ったより楽に寝られる。

10月6日(土) 曇り時々晴れ
午前6時に起床し朝食を個々で取る。
七倉温泉の駐車場は七倉山荘のみ。
トイレは水洗で極めて綺麗で水は七倉山荘横に蛇口がある。
北鎌尾根に行くパーティがゲートの開く時間にタクシーが来るのを待っている。
テントを撤収して登山案内所に計画書を提出。
案内所の説明で船窪小屋へは多くの人が向かったと聞き、混雑で布団1枚に2人が寝かされる事を覚悟した。
天気予報は夕方から雨、明日も雨、小屋に着くまで降らないでくれる事を願いつつ午前7時に七倉温泉を出発。
トンネル手前を右に折れて登山道へ入る。
整備された登山道である。
九十九折を急登2時間で少し勾配が落ちる。
荷物は小屋泊りなので軽い分救われる。
森林限界が近くなるとガスの切れ間から北鎌尾根から槍の穂先が見える。
前穂高・奥穂高も日頃見慣れた姿とは違う。
山麓には七倉ダムが手に取るように見える。
森林限界を越えて、2400m近い天狗の庭に入ると景色が一変して日本庭園の雰囲気になる。
秋真っ盛りでカメラを持っている人は良い写真が撮れるだろう。
このあたりから景色は槍・穂高が中心である。
山麓から5時間登り廻りの草木に秋を感じ、特に穂になったチングルマの群生は見ものである。
軽く一山越えると船窪小屋が目の前に現れる。
と同時に後立山の山並みがパノラマに現れた。
右手から針の木岳・剣岳・大きく立山・一の越は目の前に見え、左手に龍王岳・五色が原・烏帽子岳・黒岳(水晶岳)そのまた左手に槍ヶ岳,奥穂高岳、最後に前穂高岳。
まさにパノラマの山並みが見える。
午後12時30分に船窪小屋に到着。
宿泊手続きをして空身で七倉岳に向かう。
15分で七倉岳(2509m)到着。
各人が思い思いに写真を撮り、廻りの山々を見て下山。
夕食が5時と言う事で風も無く小屋の外で担ぎ上げた酒と大量のつまみで宴会を始める。
4時を過ぎると寒くなり、着込んで小屋に入り仮眠をするが直ぐに夕食になった。
薄暮にランプが灯り、演出は十分である。
宿泊者は定員の30人と言うことで各人が布団1枚を確保でき、連休の山小屋では最高の条件になった。
夕食を終え午後5時30分過ぎには筆者は寝てしまう。
途中お茶会に起こされたが遠慮して寝不足と疲れで更に寝込む。
夜10時過ぎに目が覚めて外に出ると雪が舞っている。
積もるほどではなかった。

10月7日(日)曇り後晴れ
朝5時に起床。
天気は曇りで周りの山々は見えない。
昨日十分に見られたのでホッとする。
朝食も夕食に負けないほど十分である。
6時に出発準備を終え、小屋主ご夫婦を交えて記念写真を撮り、見送りの鐘に送られ下山を開始する。
天狗の庭辺りでは昨日の雰囲気とは違い、時折射す陽光に照らされて紅葉が目に鮮やかに映える。
下りは4時間くらいと思ったが、意外に急勾配に時間がかかり午前11時に七倉山荘に到着。
直ぐに温泉に浸かる。
天然温泉で源泉60度と言う隠れた秘湯だ。

1時間ほど温泉を楽しみ、途中渋滞にハマったが三連休の中日と言うことで大渋滞にはならず、午後6時30分に新宿に到着し山行を終えた。

Y . F 記


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