残雪の尾瀬燧ケ岳

 

2013年5月18~19日

参加者 : 5 名

今シーズン最後の雪山に奥会津桧枝岐から燧ケ岳を目指す。
2年前の4月に会津駒ケ岳を計画したが、3.11の東日本大震災で東北地方に未曾有の被害が出た。
ここ桧枝岐の福島県でも津波と原発事故で多数の県民の方々が被害に合われ、趣味で地元の山を登ることに抵抗を感じ場所を変更した経緯がある。
2年が経過し、再び福島の山を登ろうと計画し、燧ケ岳を選んだ。
当初の計画では山から下りてきたらテント泊をして翌日帰京と考えていたが、奥会津の桧枝岐はなかなか来られない秘境で天然温泉の「燧の湯」と山菜料理と裁そば(繋ぎの入らない)が有名とわかり急遽民宿泊まりにした。
また、6年ぶりに膝痛で登山を遠のいていたNaさんの参加が有り、ペースに相当注意をした。

5月17日 (金)
夜10時に武蔵浦和駅でNaさんの山の姿を見た時は来てくれて良かったと思った。
良くある事で、電話でやっぱり駄目だと言われるのでは無いかと心配していたからである。
全員が定刻に揃い、一路東北道を西那須野塩原ICに向かう。
ノンストップで午前0時にICを降りてすぐの道の駅で車上泊とする。
外気温は7度で予想以上に低い。
夏のシュラフやシュラフカバーでは寒くて眠れない。
ウトウトして朝4時50分、早々に桧枝岐に向かう。

5月18日 (土) 快晴
塩原を抜け、会津田島を抜け南会津に入る。
国道は冬でも通行止めにならないということで奥会津の暮らしを守っているのであろう。
幅広い道は走りやすい。
1時間30分強で桧枝岐に入る。
寂れた村かと思っていたが昔ながら風情のある街並み。
水の豊かさで平家の落人が住んだと語り継がれている。
七入りを通過し、道路は狭くなり高度を上げて行く。
白樺の白とブナの木と青い空、そして廻り一面が雪の世界と今まで見たことの無い景色である。
実に美しい。
この景色に出会うだけでも価値がある。
桧枝岐から20分程で御池の駐車場に到着。
廻りは3m以上の雪壁で駐車場のみ除雪されている。
100台近く止められる大きな駐車場であるが、まだ山開き前ということで登山客は少ない。
山スキーヤーとボーターが多い。
今は駐車場の隙間が多いが、6月の山開きとなるとかなり混むらしい。
午前7時30分にスタート。
駐車場から出たら山頂まで雪の世界である。
トレースが残っているので忠実に辿る。
最初から急登。
広沢田代まで1時間で300mの高度を稼ぐ。
夏なら池唐があり高山植物が咲乱れている場所であるが今は雪の下である。
天気が良くて風が無く素晴らしい条件に加えて、Naさんの膝の痛みも出なくホッとした。
久しぶりの山行なので最高のコンディションで駐車場まで戻れることを願った。
広々とした雪原をスノートレッキング感覚で通り抜け、再び正面の山の急登がはじまる。
1時間の登りに耐えると景色が一転し、上越から福島の雪山が綺麗に見えて疲れがとれる。
少し下ると木道がほんの僅か出ている熊沢田代の湿地帯に着いた。
雪解けで少し水の流れが出ている所があるが殆どが雪原。
正面に燧ケ岳の山頂(俎嵓 マナイタクラ)が見える。
1時間の急登。
気温が上がり雪が腐り出しズルズル滑り出すので全員アイゼンを装着する。
樹林帯の木も森林限界に近いのか低木になり始め、下りの山スキーヤーにとっては快適なスロープになっいる。
御池側のコースは1時間ピッチで300m高度を上げるので登り易い。
駐車場から3時間で午前10時30分過ぎに尾瀬ヶ原側から見ると双耳峰に見える燧ケ岳の山頂2256m(俎嵓マナイタクラ)に到着した。
雪が解けて岩が露出した狭い場所にハイカーさんと山スキーヤーがのんびりしている。
膝の心配をしながらのNaさんは痛みが出ず安心。
今まで心配して登山を避けてスポーツクライミングに徹してきたが気持ちが切り替わり、健康の為にこれからは登山に復帰できる心の準備が整ったとの話。
皆で喜んだ。
風も無く暖かく気持ちが良い。
遠くに富士山が大きく見え、谷川岳の一の倉も見え、40分近くのんびり。
正面に見える燧ケ岳のもう一つの頂上(柴安嵓シバヤスグラ)を目指す。
行く人は少ないようだ。
山スキーヤーは登っていない。
というのも山頂直下30mが雪稜の壁になっており、登っている人も四つん這いになっている。
下りはロープを使ったほうが安全と思いながら俎嵓(マナイタグラ)を下降する。
コルでハーネスの代わりに持ってきた9mm×3mのロープとカラビナで簡易ハーネスの作り方を指導し全員に装着する。
Fがバイルとストックでリードしてから、8mm×20のロープで肩がらみで女性陣と体験生をビレーして標高が10m高いもう一つの燧ケ岳の頂上2356m(柴安嵓シバヤスグラ)に午後12時前に到着する。
山頂は俎嵓より広く、眼下には雪原の尾瀬沼と尾瀬ヶ原がパノラマ状に見え、それぞれが写真を撮って30分のんびりする。
今日は民宿泊りで時間・天気・風すべてが良い条件で余裕があり、春の東北一番の標高の山を満悦した。
下降は両面スパッと切れたリッジになっており、雪も腐りステップが崩れるので他のパーティを先に行かせ、エイトノットで一人づつ安全帯まで降ろし全員がコルに降りる。
帰りは駐車場まで2時間、遅れることなく全員揃って雪面をリズムカルに下降する。
午後3時前に駐車場に到着。
30分程荷物を広げて乾かし、一路予約してある桧枝岐の民宿舟岐館に向かう。
共同浴場の「燧の湯」を目指し、そこから50mも離れていない場所に民宿があった。
民宿は山開きの前なので、我々5人だけという事で部屋を3つ準備してあった。
荷物を整理し、無料の共同浴場「燧の湯」のパスカードを貸与され、自由に使えるとの事で喜んだ。
夕食まで3時間近くあるので天然温泉「燧の湯」に向かい、露天風呂、大きな内湯に旅館のような感覚になる。
風呂上りに山の雪で冷やしておいた持参した缶ビールで乾杯し、無事下山とNaさんの復帰、体験生の喜びの感想を聞き、係りとして良い場所を選んだ事を素直にホッとした。
部屋に戻り、夕食までまだ時間があるので持参した梅酒と乾き物で宴会。
山岳会で山に来るのが楽しい事を体験生に説明する。
Naの6年ぶりの復帰宣言も今回は価値ある山行になった。
サポートしてくれた仕事での木曽駒帰りのKo君といつも膝が痛いと云いながら参加してくれるKo女史にも感謝の念でいっぱいである。
梅酒が無くなる頃 午後6時30分に夕食の電話があり、テーブルの置かれた畳の居間に場所を替える。
15品目近くの料理が所狭しと並ぶ。
まさに山菜料理尽くしである。
説明を受ける。
岩魚、山椒魚から揚げ、鹿肉、つめっこ(そばすいとん)、はっとう、ばんてい餅、ゴマ豆腐、そば粉ベースの田楽、山菜のてんぷら全て地元で取ってきた食材との事。
5月は一番良い季節だそうだ。
最後に繋ぎの入らない裁そばは食べきれないボリュームである。
大満足で食事を終え、寝る前に再び「燧の湯」に入りに行く。
水の豊かな桧枝岐でのんびりと寛ぐ。
雪解けの清流の音が子守唄となりいつの間にか夢の世界に入っていった。

5月20日 (日) 晴
天気予報が外れて朝から晴れている。
午前中に帰京しようとの事で朝食を6時30分にする。
全員目覚めが良いのか、朝6時から入れるということで朝湯に全員で向かう。
民宿ではなく、旅館に泊まっているようだ。
朝食にも地元産の料理が並び説明を受ける。
茸ご飯で〆る。

精算をしてから、午前7時15分に宿を後にする。
西那須野塩原ICを目指す。
奥会津の清流沿いに道路が作られ、信号も無く快適なドライブとなる。
1時間45分でICに入り 順調に午前11時に浦和に到着。
今回の山行を終た。

Y . F 記


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