厳冬期の谷川岳 [雪洞山行]

 

2014年3月1~2日

参加者 : 7 名

雪洞技術の経験をしてもらう為に、未経験者4名含む7名で谷川岳天神平に向う。
関東地方の山間部に大雪注意報が出ていて、出発前に実施するか問い合わせがあったが迷い無く実施した。
天気図を見て、1500mでの-6℃の寒気団が新潟に下りてくるのが月曜日以降となっており、登頂日の日曜日は午前中、南東の風が入り込む予報だったので大きく崩れることは無いと判断した。
土曜日は午後半日掛けて雪洞を作成すれば良い。
また、4年前は吹雪の中で作った経験から、天気が悪ければ雪洞内と外の違いを十分に理解できると考えた。

3月1日(土)曇り

朝8時に武蔵浦和に集合し、関越道に入る。
途中、事故渋滞で水上インターを1時間遅れで通過。
途中のセブンイレブンで24時間のローソクを1個購入し湯檜曽へ。
この時期では、湯檜曽を過ぎるとスタッドレスにチェーンを巻くのだが、今回は道路の雪が解けており谷川岳ロープウェーの駐車場までチェーン無しで到着できた。
テント無しでも冬装備一式に共同装備を分散するとそこそこの重さとなる。
行動予定が1時間なので精神的には楽である。
ロープウェーに乗り午後1時、天神平スキー場駅をスタート。
風は殆ど無く、弱い雪が降っており視界が100m位。
冬山なので行動に支障は無い。
スキー場のコース脇の登山道を1時間掛けて登ると天神尾根の端に着いた。
視界が良ければ右手に天神尾根ルートが見えるのだが、雪が降っているのでスキー場の整地された雪面と登山者のトレースに引っ張られ左手に入る。
5分ほどでリフト小屋がありその近くの埋っている東屋近くの斜面に雪洞を掘ることにした。
3mは積もっていると判断。
準備をしていると先に続くトレースを戻ってくるパーティが有り、ルートが違っていることに気がついたらしい。
天神尾根を右側に行くのが本ルートと説明してあげた。
時間は午後2時。
日没まで3時間強である。
7人の入る雪洞を掘るには奥行き2m、横幅4m天井高1.2m無いと一晩居るのにはしんどくなる。
作り方の説明後、左右から2班に分かれて、初は縦の作業エリアを身長ほど掘る。
1m下は弱層の下になるので雪が締まっている。
スノーソーで切り込みを入れて掘り進む。
未経験者は楽しいのかピッチが早い。
30分で息が切れてくる。
頻繁に入れ替わるように指示し、横穴堀に体力を残すように要領を説明する。
女性陣もスコップを交代して掘り進む。
縦作業エリアができると雪の断面に弱層の柔らかい雪とその下の固い雪がはっきり現れてくる。
弱層の説明をする。
雪洞は天井が20cm以上一晩で沈むから50cm以上の厚みが必要。
弱層の下、硬い部分を出来る限り厚くするほうが安全と説明する。
硬い雪の横穴堀が始まるがアルミのスコップでは跳ね返されて、腕がパンパンになる。
今回Nさんが重い鉄の角スコップを持参したのが威力を発揮する。
トンネル堀が一気に進む。
長時間歩くような山行には持参できないが、天神平の訓練には有効な武器である。
左右の横穴が2時間以上掛けて繋がり、一つの大きな部屋になった。
天井の曲面を削りすぎると崩れ落ちてしまうので、床下を掘り下げる。
熊笹が出てきた段階で内部の仕上げに入る。
凸凹の無いように理由を説明し3時間経過。
午後5時を廻ろうしていた。
ライトを準備し午後5時15分に作業終了。
一部熊笹が出て、勾配があるので車座に座らないで全員がブルーシートの上に入る。
7人入っても狭くは無い。
第一段階は終了。
ローソクを3本立て、メルヘンの世界となる。
雪洞宿泊の未経験者はどのように感じたか。
外は氷点下5度であるが雪洞内は素手でも寒くない。
これが山の技術と雪洞を認識したと思う。
読んだり、聞いたり、画像で見たりしても実際に体験すると時間の掛かることが理解できた思う。
同時に吹雪の外と内で大きな違いがある事を体験できたと思う。
緊急露営では道具も無いので木の根元に縦穴を掘りツェルトで一晩過ごす事も、応用としてあると説明する。
室内の荷物を整理し、テントより寒くは無いが体力を使ったのでシャリばてになる。
ミルクティーを沸かして、嗜好品がドンドン出てきてた。
女性陣2名が夕食のカレーの準備してくれる。
その間に持参した梅酒をお湯割にして皆で飲む。
ヘッドランプを消してローソクだけの明かりで飲むアルコールは街で飲むシャンデリアの明かりより気持ちをリラックスさせてくれる。
酒のツマミにNさんがマカロニサラダを鍋一杯に作ってくれた。
余るのではと心配したがものの見事に完食。
カレーは別腹。
恐るべき雪洞山行の威力。
カレーはNさんが自宅で加工してきてくれたので、具が鍋一杯になったがこれまたほぼ完食し皆満足。
安達太良に続いて今回も女性陣の食当が大当り。
夜9時就寝として、外に出ると弱い雪が降っていた。
予報では朝6時頃まで降水量0mmの弱い雪。
全員がシュラフに入る。
夏用シュラフ、スリーシーズンの羽毛シュラフ等バラバラ。
ローソクの明かり3本に照らされて静かに寝息をつく会員もいる。
勾配が少しある端の3名は夜中にずり落ちて、何度も起きる。
これも雪山。
熟睡しなくても横になっているだけで体力は温存され、翌日の行動には心配ない。

3月2日(日)雪後曇り

朝4時起床
外は弱い雪が降っている。
新雪が5cm積もっていた。
視界が100m位なので、出発を1時間遅らせる。
雪が殆ど止み、風が無いので6時50分に山頂へアタックする旨を伝える。
天神尾根では登山教室や山岳会が雪庇に雪洞を掘っており出発の気配は無い。
3人のテント泊の若者パーティが先行する。
途中で聞くと西黒尾根から下山するとの事。
ラッセルする程ではないが視界が50mに落ち、赤布と篠だけが頼り。
熊穴沢の非難小屋は殆ど埋っているが1時間で通過。
ここから急勾配の登りになる。
森林限界を越えて篠だけのみの目標になった。
風が弱いので助かる。
BCから2時間15分で肩の小屋に到着。
すぐにトマノ耳に向う。
10分で山頂。
会に入って初めての厳冬期の谷川岳に登頂できた会員は感激である。
写真を撮り直ぐに肩の小屋に入る。
行動食を摂り、午前9時30分下山開始。
他のパーティが続々と上がってくる。
午前11時前にBCに到着。
荷物を整理し天神平駅に30分で到着。
駐車場まで下りて、谷川温泉に向う。

今回の雪洞山行を無事に終え一路東京へ。
大きな渋滞も無く、午後6時前に武蔵浦和に到着して解散。

Y .F  記

初めての雪洞山行 感想4題に続く・・・

感想 その1

3月1日(土) 休日にひとり早起きして集合場所に向かう。
家族はまだ寝ている。
前日に作っておいてもらった朝ご飯のお握りに感謝。

集合場所にはいつものメンバー。
今回は7名。
この種のイベントは人が多いほど楽しい。
渋滞の高速を抜けて、土合口よりロープウェイで天神平へ。
ロープウェイで高度が稼げるのは楽だが、その分山が浅くなる。
矛盾している。

スキー場の脇を登り終えると直ぐ雪洞設営地点。
スキー場の近くで雪洞に泊まるのは面白い。

スコップを渡され、雨具とゴム手袋で武装して掘り始める。
2~3時間かけて二つの縦穴から横に掘り進んで繋げた。
縦穴から横に掘るとは思っていなかったので、良い経験になった。

雪洞は予想より寒かったが、風が無いのはありがたい。
悪天候には強そう。
入ってしまえば狭いながらも楽しい我が家。
ただし、壁は全て雪なので物を触れたままにすると濡れてしまう。
シュラフが春秋用だったのでちょっと寒かったが、雪洞掘りの疲れの為良く眠る事ができ、初めての雪洞は快適だった。

翌日は朝からずっと雪がちらつく天気。
尾根より上は雲の中で何も見えない。
朝、少し待機したが幸い登頂が決まった。
ここまで来たら登りたい。

雪洞より山頂まで快適な尾根歩き。
風がない分、1月の天狗岳よりずっと楽だった。
とは言え、初めての谷川岳が厳冬期。
2~3年前までは計画すら考えられなかった。
連れてきて頂いたベテラン陣及びメンバーに感謝。

帰りはいつも通り温泉によって、渋滞も無く帰宅できた。
次回の冬山は残雪期の八ヶ岳。
宜しくお願いします。

H .K  記

感想 その2

今回の目的は「雪洞を堀ること」
天神平スキー場山頂の四阿(あずまや)直下の西斜面(たぶん?)に出来上がりを想像出来ないままリーダーの指示に従い約3mの間隔を空け2ヶ所から穴掘り開始。
「小さな棺桶」が入る2mほどの縦穴を掘ったところで横穴を堀り始める。
中腰にもなれない高さの中、スコップ・のこぎりを駆使しながらの作業は楽ではなかった。
だが、もう一方から掘り進めていたチームとの「感動的な開通式」での握手は疲れを一瞬忘れさせた。
7名が横になって寝られる広さの雪洞の中は意外に温かく、ロウソクの明かりで快適に夕食と懇親(梅酒で乾杯)の時間を過ごせた。
・・・が、斜面だったためか重力が一方にかかり寝返りを何度もすることになったことが少々残念。(次回場所決めの反省点か)

翌日は「おまけ」の谷川岳トマの耳までのピストン。
あいにく眺望には恵まれなかったが風もなく気温も高く、トレースもしっかりついていたため山頂までは快適な山行。
肩の小屋で大休止後に下山開始。
そして、私に事故は突然訪れた。
7人パーティーの5番目で下山中の私が「自然の雪洞」を左足で踏み抜き、残った右足の膝を硬い雪面に強打!
打撲だと思ったが後に腫れなかったことから捻ったようだ。
痛みを堪え「落とし穴」からようやく左足を引き抜き、下山再開した直後に事故は続いた。
今度は痛めた右足で踏み抜いた。
「なんで俺だけが・・・」
その後の下山は痛みを堪えての厳しいものに。
もし事故が登攀中であれば最後まで自力で下山まで辿り着けなかったと思う。
仮に途中ビバークとなった場合「雪洞訓練」が早々に役立つ事になった笑えない話しである。

M .S  記

感想 その3

3/1から1泊2日で谷川岳雪洞訓練に参加した。
ベテランNさんの助言により、各自インターネットで雪洞の掘り方について知識を仕入れておく。
数年前に稜朋会で訓練したときの様子を何度か聞いている。
「ホワイトアウトで回りが見えずスキー場の真ん中に掘った」
「とにかく天井からの水滴などで濡れるし、湿度100%で乾かない」
「蝋燭の灯りが幻想的で美しい」など。
自分で調べた情報も相まって、不安70%ワクワク30%の気持ちで訓練に臨んだ。
ロープウェイで天神平まで上がり、1時間ほど歩いたところで東屋が雪に埋まって屋根だけ見えている場所があった。
この東屋を掘り返そうという提案はあっさり却下され、その近くの斜面を掘ることに決まった。
東屋に未練を残しつつ・・・戦闘開始!
1メートルくらい離れた2か所を掘り、中でつなげようという作戦。
まずは縦に2メートルくらい掘ることから始める。
10分おきくらいに交代しながら堀り進めると、2メートルに達しないうちに笹と地面が見えてきた。
思ったより浅いが、そこから横に堀り進む。縦の層が上は弱層、氷、強度のある層に分かれているとの説明がリーダーからあり、天井の高さに気を付けるようにアドバイスを受ける。
強度のある層を横に掘っていくのは大変で、スノーソーで雪に切り目を入れながらブロック状に掘り出せるようにする。
男性陣が先頭を交代しながらガンガン堀り進んでいく。
掘った雪をシートに乗せて捨てる作業をしていたが、あまりの量と速さに追いつかないほどである。
そして、2つの穴が貫通した時は握手で喜びを分かち合ったようだ。
さらに奥へと進み、天井も整えたところで7人全員入って横になってみる。
地面は斜めだがなんとか寝られるだろうとの判断で完成!!
みんな無我夢中で作業をしたが、始めてから3時間経過しており、完成したとたん疲労と空腹を覚えてしばし休憩。
少し離れた場所に女性も安心できる深さのあるキジ場も掘ってくださりありがたい。
風呂なし・トイレ共同・1Kの今宵の宿である。
笹の上にブルーシートやテントシートを引き、それぞれ居場所を探して腰を落ち着ける。
雪の壁を3か所くりぬいて、蝋燭置き場も完成。
真っ白の世界にオレンジ色の炎が揺れる様子が幻想的である。
そしてくりぬいた雪を鍋に入れてお湯を作る。
湯気があがると視界が悪くなる湿度100%の世界。
強度のある場所に作ったことで天井から落ちてくる水滴はなく思っていたよりずっと快適。
食当が準備してくださったマカロニサラダとカレーを作る。
自宅で下ごしらえをしてきてくれたので短時間で作れてとっても美味しかった。
ありがとうございます。
夜トイレへ行くと、星は見えないものの眼下にスキー場のリフトの灯りが見える。
そして宿は雪の中。
そんな非日常に不思議な感覚を覚える。
就寝時、地面がななめになっているのですべらないよう気を付けて横になる。
テントで寝ると地面の冷たさが気になるが、笹の上なので冷たい感じはしなかった。
テントよりも自然に近く台地の上・地球の上に横になっているような気持ち。
谷川岳の小さな雪の穴の中でそんな壮大なことを感じつつ眠りについた。

翌日、谷川岳に登頂し撤収のため雪洞に戻り下山の準備。
サブリーダーが中に入ったところ、昨日は感じなかった笹の匂いが充満しているとのこと。
せっかく雪の下で冬眠していたのに、堀り起こされて、さらに調理の熱や体温で春と勘違いして芽吹いてしまったのかな?
不安な気持ちで臨んだ雪洞訓練だが、快適で過ごしやすく、思っていた以上に楽しい一晩を過ごすことができ、下山するときは一抹の寂しさを覚えた。
来年もう一度やるかと聞かれたら答えに窮するが、貴重な体験ができ、ご一緒してくださったみなさんに感謝申し上げます。
ありがとうございました。

K .A  記

乾燥その4

皆でワイワイしながら作る雪洞は、3時間かかりましたが雪遊びのようで楽しい作業でした。
中は静かな点ではテントよりも居心地が良いくらいでした。
行く前、中は暗く息苦しいことを想像していたら意外や意外。
雪に蝋燭の灯りが映り気持ちが和み神秘的な感じ、息苦しさもありません。
中でコンロを点け食事と暖をとっていても天井の雪が溶けて悩まされる事もなく、湿度100%ながら快適でした。

翌日、天神尾根経由でトマの耳山頂に登る際、他のパーティが作った雪洞脇を通りましたが、作り方はそれぞれ有るようで参考になりました。
今回はガスがかかり展望は無いものの、風や寒さに悩まされなかったので条件が良かったのですが、リーダー・経験者のアドバイスが効いていたと思います。
本やネットで雪洞作りは出ていますが、ビニール手袋を用意等の細かい事から、雪の層を見ながらの掘り方等、経験からアドバイスしてもらえ参加して良かったです。

T .N  記


Copyright (C) 2003 RYOHOKAI All Right Reserved.