残雪の朝日岳(山形)

 

2014年6月7~8日

参加者 : 10 名

昨年の夏に企画したが台風で中止になった。
例年だと6月の第1週の土曜日は梅雨前で比較的雨の確立が低い。
1週間前までは連日暑く空梅雨かと思わせたが、 期待は裏切られ出発1週間前に九州で大雨が降り、梅雨入り宣言。
しかし、東北はまだ降らないと予測していたら、2日前には関東地方まで梅雨入り宣言。
山域は新潟に近い東北山形。
関東から遠いので曇り空の予報。
係りとしては中止(延期)の考えは無かった。
出発当日の夜、首都圏は大雨となり誰もが中止の連絡があると考えていたと思う。
山形村山地方、新潟村上地方の天気は曇りとの予報がでていた。
関東地方の南をゆっくりした低気圧が通るので、山形地方は大荒れにはならないと読んで実施することにした。
本来なら雨が続く予想なので、中止をすることが多い。
雨の中で登山をした経験が乏しい新しい会員が多い。
過去の縦走合宿では1日や2日の雨でも行動しなければならなかった経験から、山岳会員としてこの時期学習してもらおうと感じた。
濡れの精神的不安と体力消耗を乗り越える必要があり、今回は特に避難小屋泊まりなので其の点は有効であった。

6月6日(金) 雨
夜10時に武蔵浦和駅でレンタカーを1台借りて2台で出発。
雨の中片道400kmの東北道・山形道をドライバー3人100km交代で運転をする。
夜中の3時過ぎに曇り空の寒河江サービスエリアに到着。
テントを建てないで車の中で仮眠をとる。

6月7日(土)  曇り後雨
朝5時過ぎに月山インターに向かって車を走らせる。
インターを出て一般道を古寺鉱泉に向って快走。
深緑の舗装された道路は爽やかさを感じさせる。
古寺鉱泉には途中小さな案内看板が2カ所あり、それに誘導されインターから30分で到着。
深夜だと判りづらい看板である。
道路が行き止まると駐車場があり登山口になる。
曇り空でホッとする。
荷物を分散して途中で降られても良いように雨具は着る。
AM6時30分に出発し古寺川右岸沿いに歩いて直に古寺鉱泉朝陽館に着く。
登山道は朝陽館横を通り、整備された道を進む。
前半の急登は高山植物に目をやりながら進む。
暑くて雨具の上着を脱ぎながらの登行。
1時間30分経過しても本格的な残雪が出てこない中水場に着く。
喉を潤し暫く進むと、斜面に残雪がありトラバースをしなければならない。
トレースが無いのでアイゼンを着けなければスリップすると下まで持っていかれてしまう。
回り道を探すが残雪の壁で悪く、ここでアイゼンを着けてトラバースをする。
再び、雪が無くなりアイゼンを外す。
この作業を何度も行動中に繰り返すことになる。
時間が消費するがこの時期の東北の山では宿命だ。
滑落するよりは安全をとる。
夏道も直に残雪で消されルートが判りづらい。
赤布の少ない山である為、帰りのことも考えて、周りの地形を頭に入れながら登る。
雪はクラストしてないのでアイゼンを着けなくても進めるが、勾配はあるので下山時はアイゼンが必要。
出発して3時間経過して、後から単独の登山者が登って来た。
避難小屋の管理人である大江山岳会の方であった。
山の情報を聞いて我々が先に進む。
直に古寺山に到着。
ここから残雪が無くなりアイゼンを外す。
小朝日岳まで一度下降してすぐに150mを登り返す。
登り返しのコルから残雪が出て急斜面になりアイゼンを装着。
この付近は既にガスの中で視界は100m位。
ホワイトアウトにはなっていないが、時折ガスの移動が早く雨粒のように感じ雨具のフードを被ったりして前に進む。
小朝日岳のトラバース道は悪いので山頂経由で来た方が安全との管理人からのアドバイスに従う。
夏の季節なら既に避難小屋に到着する行動時間の5時間が経過。
やっと小朝日岳1647mに到着。
全体の山並みが見えないので方向感が乏しい。
残雪でトレースが無い東北の山。
パーティの技量が試される。
小朝日岳から避難小屋まで夏時間なら2時間で着くはず。
小朝日岳でガスの中を左に下り始め、一気に下降する。
先頭歩いていて頭の中の地図では下るにしても急下降はほんの少しのはず。
1時間経過して大朝日岳の登り返しが無い。
おかしいと感じ、体験のS君の携帯GPSで位置を確認すると鳥原山へ向っていることが判った。
GPSに地図とコンパスで重ね合わせると間違いであることが確認できた。
直に小朝日岳まで戻ることにする。
下りで1時間経過したので1時間30分の登り返しは覚悟。
既に精神的に疲れが出ているが全員黙々と登り返し1時間5分で小朝日岳に着く。
午後2時。
狭い山頂の右側に下る道があり、地図とコンパスで確認すると大朝日岳への登山道と確認する。
アイゼンを外し、標高1500mまで夏道を下降する。
その後、避難小屋まで250m登り返すがペースが上がらない。
今は一番日の長い時なので、時間が解決してくれると感じていた。
銀玉水の道標が見え、目の前に雪の急斜面が現れる。
アイゼンを再度装着し左側の谷側に寄らないように登る。
雪が腐りズルズル滑る。
明日の下山時が心配。
ルートは管理人が刺した赤布があり間違えることは無い。
夕方4時を廻り、傾斜が落ち小屋が近いと感じるが、ガスと霧雨でペースは上らない。
午後4時30分、小屋の影がガスの中に浮かびやっと到着した。
10時間行動。
管理人が我々の到着が遅いので心配してくれたようだ。
他に宿泊客がいないので2階フロアー全部が貸切となる。
東北の避難小屋は1500円と有料であるが綺麗でトイレも清潔で維持管理の為に有料は抵抗がない。
全員ホッとしてお茶を沸かし今日一日を振り返り、経験の無いガスの中で残雪のルート取りの難しさを感じてくれたと思う。
繰り返すアイゼンの脱着による時間のロス。
濡れた身体の体調維持とエネルギー摂取。
腐った雪のアイゼンの制御等、この季節の登山の難しさである。
東北の山は1800mの標高でも残雪の多さと赤布が殆ど無く、道標も無い。
技量の求められる山である。
お茶を飲んで身体が温まったら夕食の準備を女性陣が始めてくれた。
兎に角、部屋が広いのでテントと違って楽だ。
ビールで乾杯し、寿司ご飯の夕食を完食する。
疲れていても食欲があるので安心する。
小屋の管理人が1階から上って来て過去の遭難事故の話題に耳を傾ける。
地元の女性が残雪期にキジ場に行きスリップして行方不明になり、後日、谷を降りて無事救出された等、残雪期の怖さを感じた。
管理人から酒とビールの差し入れがあり、当会が雨の際の避難小屋使用に当たってのマナーの良さに感激していた。
夜8時にはシュラフに入り、1日のハードな共同体験を夢見ながら眠りに入る。

6月8日(日)  ガスと雨
午前3時30分に2度寝から目が覚め、朝食の準備。
小屋は寒くは無かった。
ガスってはいるが本格的な雨で無いので、大朝日岳にアタック決定。
午前5時に空身で出発。
雪の無いガスと強風の中、大朝日岳1870mに15分で到着。
記念写真を撮り直に下山。
整理してあるザックを担いで管理人に挨拶。
午前5時30分に下山を開始。
昨夜の眠りで体力が回復し、全員快調である。
景色は相変わらずガスの中、視界100m。
心配した銀玉水への雪の下降はアイゼンが効いてすんなり下れた。
途中、小朝日岳への登りも問題なし。
しかし、山頂からの下りの残雪でトレースが雨で消えてルートがはっきりせず苦戦。
尾根が広く視界が利かないので方向感がつかめない。
先ずは谷に引っ張られないように注意していたら夏道が見つかり、そこを辿ると目の前に雪の大斜面が現れる。
下まで雪がありスリップしたら大事故になりそうな斜面。
登り時にトレースしていない道ではと話し合う。
途中までルートを作りながらトラバースを試みるが、軽アイゼンの世界では無い。
戻ってGPSで確認すると小朝日岳のトラバースルートと判明。
元の雪面まで5分ほどで戻る。
道を探すと右下方にルートがあるように地図とコンパスで読めるので、少し急な雪面を下る。
雪が腐りアイゼンの効きが悪く、Nが10m滑落するがブッシュ手前で止まる。
夏道が熊笹の中に見え隠れしている所を通過する。
しばらく雪の無い道を進み、登りの際最初にアイゼンを着けた雪渓のトラバースに到着。
アイゼンワークに慣れてきたのですんなりと通過し、アイゼンを外す。
この後はアイゼンを着けること無く、1時間30分掛けて駐車場に午前10時30分に到着。
時折曇天の中に青空が見える天気になっていた。
荷物を整理し30分車を走らせ【ゆったり館の温泉】着。
濡れた身体を癒やし、着替えてさっぱりし午後12時30分に一路月山インター経由で東京に向う。
山形道までは青空が出たりしていたが村田ジャンクションから東北道に入ると天気が悪く、栃木当たりで猛烈な雨に合い運転に気を使う。
高速道の制限スピードが押さえられて、少し時間が掛かったが午後7時30分に武蔵浦和駅前に到着しレンタカーを返却して山行を終える。

山形朝日岳は1800mを少し上回る高さであるが残雪期にはルートが判りずらい。
まず登山道に道標が無く、赤布も極めて間隔が遠くて道を探しづらい。
我々が迷った小朝日岳の山頂には、山頂の標柱は立っているが、各山への方向を指す道標が無い。
道標の整備されたアルプスに慣れていると東北の奥深い山は中級のグレードになります。
今回はGPSと地図とコンパスが有効だった。
地図とコンパスは会津駒ケ岳で学習したので実践できた。
今後は会装備でGPSを購入する必要がある。
4年前の5月の霞沢岳でもGPSに助けられ無事に森の中から出られた経験があり残雪期は極めて有効である。

Y ・ F  記


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