剱岳合宿(源次郎尾根)

 

2015年8月1日~3日

剱岳、源次郎尾根 (三田平定着合宿)山行記録
2015年8月1日~8月3日

参加者:源次郎尾根5名(長次郎左股:6名で定着合宿総11名)

二年越しの源次郎尾根となり、つづら岩での懸垂、各山行及び日常のロープワーク練習の集大成の山行である。 自分にとってもリーダーとして4名を引き連れてのバリエーションとなり、事前の下調べも念入りに行いルートを頭に叩き込む。 バリエーションルートより、天候安定を重視してお盆休みではなく梅雨明け後の金曜夜発~月曜帰宅での計画とした事により、月曜の平日を含めた為に参加できないメンバーも出たがご容赦願う。

8月1日
今年2度目の立山からの入山で皆慣れた様子である。連休前でもありさほどの混雑 もなく室堂へ至る。本日はベースキャンプの三田平までであるが、暑さと荷物の重量で、足取り重く別山乗越の登りは30分刻みで休憩を取りながらも13時過ぎには到着する。 天幕設営後、剱を眺めながら休息したり、ロープワークの最終チェックをして過ごす。

8月2日
4:30にテント出発し、剱沢を下る。情報では雪渓が途中で切れており滝が出ている との事で雪渓へ降りる場所をなるべく下降地点とする。 取り付きには5人と3人のパーティーが待機中であり、我らも準備して6時前に本日のラストで出発する。 取り付きからすぐに大岩を超えるが、ロープを出すグループもあり早々に渋滞。 伸びるお助けロープを使い皆難なくクリヤする。しばらく木登り混じりが続き、本ルート登攀の核心である岩場で先行に追い付く。さほど難しくはないが滑った場合の安全を考えてロープを2か所かける。2か所目の出だしが悪く、少し手こずるメンバーもいた。 その先からのスラブ状、階段状の岩を快適に進む。ルンゼとの合流箇所はガレ場で ルートが崩れており、左側の藪を伝いながら登る。 Ⅰ峰前のスラブ状は直登ルートを避け右側の踏みあとへ回り込みをしたが、それは 失敗で藪こぎをするはめになってしまった。

Ⅰ峰までで計画に対して1.5h程の遅れとなる。道迷いとかはなかったが予想した 最長の時間を費やしてしまった。Ⅰ峰からは先行パーティーがⅡ峰に到達するところが見え、キレットからの登り返しもきつそうに思えたが、実際に歩くと他記録通りに大したことはなくⅡ峰へ12時前に到着する。 いよいよ懸垂ポイントへ。 先行パーティーで待機かと思いきや、着いたときには調度終了しており、待ち時間なしで準備に入る。後続もなく、落ち着いてロープ及び懸垂のセットの確認が出来た。 傾斜もお手頃で、つづら岩での空中懸垂経験のおかげで、皆スムーズにかつ確実に下降する。 5人が懸垂終了してロープ片づけが終わったのが13時。これから剱岳 頂上まで約1h予定であるが、核心部抜けた安堵からか疲れが現れ出し、ルートファインティングも雑になりがちになってしまった

一般コースではないので足元は不安定なところもある。もしガスがかかった場合は案外ルートを忠実に辿るのが難しいかもしれない。 14時過ぎに登頂! 八峰ルートからの二人組と登頂の喜びを分かち合う。 (既に午後遅く、山頂は我々と八峰からの二人の計7名独占?状態) 初級とは言え、バリエーションからの登頂で感慨深い。 事故は下りが多く、しかもカニの横這い、前剱のガレ場と気を抜けないコースがまだ まだ続くので注意を喚起する。
剣山荘で大休止して、三田平には日没ギリギリの18時半頃帰着する。 夜になって短時間であったが雨降りがあり、もしビバークでもしていれば寒い一夜を 送ったかもしれない。

8月3日
来た道をそのまま戻るが、食糧・水が減った分少し楽になるが、雷鳥平からの登り返しはさすがに応えた。 吉峰温泉ゆ~ランドで汗を流し、お昼の海の幸を楽しみに名立浜SAに立ち寄るが 目当ての海鮮類が皆無でガッカリする。(有磯海SAにはあった模様で失敗) 事故渋滞がありながらも20時には武蔵浦和に着く。 最後に、皆よく頑張って付いてきてくれて感謝に絶えない。

記:E・N

K・Aさんの感想
この夏、一つ目の大きな挑戦である剱岳源次郎尾根へ。 去年夏の目標だったが台風の影響で中止に。さまざまな準備を重ねていたので心底がっかりし気持ちを立て直すのに時間が必要なほどだった。いよいよその頂に立てるチャンスが巡ってきた。苦手な岩登りや懸垂下降があるので内心不安がいっぱい。だが好奇心には勝てない。Nリーダーから「懸垂下降の手順を日々練習して下さい」とその手順が丁寧に綴られたメールが届く。4月のつづら岩での練習から日が経っているので、家で毎日ハーネスをつけロープをエイト環にすばやくセットできるよう練習。この夏は出来るだけ会の山行に参加し、12時間以上歩ける体力もついたはず、きっと大丈夫と不安な心に言い聞かせる。

2日の当日朝、三田平キャンプ場から雪渓をだいぶ下って源次郎尾根取付点へ。ここで長次郎谷チームとお別れ。のっけから息が上がる急登、顔の周りに纏わりつく虫が煩い。 しばらく行くと最初の岩場が現れる。前にロープを出しているグループがいたが、我々はロープなしで登ることができた。そして這松の木登りで高度をあげていく。松脂らしきものがベタベタ手につくが気にしていられない。次の岩場でNリーダーがロープを出して下さった。「クライミングシューズに履き替えた方がいいよ」とアドバイスをもらうが大丈夫かなぁ~と履き替えなかった。 これが失敗。2番手のNさんが軽やかに登っていく。自分の番になったが同じように登れない。手がかり、足がかりは多いのだが体を持ち上げられない。「すいません、履き替えます!」叫んだ。言われた時にすぐに履き替えれば良かった。やっぱり岩登りを皆と同じように出来ない・・。そんな悲しい気持ちになり、弱音が口から出てしまった時、最後尾を守るSUさんが「出来ないことはない!たまたま良い場所が見つけられなかっただけ。絶対に登れるから大丈夫!」と力強く励まして下さった。その言葉に勇気づけられクライミングシューズに履きかえてなんとか登ることができた。しかし弱音を吐くと仲間に気を遣わせてしまい、私を励ますという余計な仕事を与えてしまう。もう弱音は吐かないと決めた。

今までクライミングシューズはただのきつい拷問のような靴だと思っていたが、今回ようやくその威力を知った。 ザレ場の緊張する急登や高度感たっぷりの岩登りをクライミングシューズに助けられながら必死に登り、とうとう懸垂下降のポイントに到着。取りついているグループはおらず待ち時間はなかった。後ろから来るグループもいないので、慌てることなく落ちついて取り組める事にまずは一安心。Nリーダーを手伝いSUさんARさんがロープをセットするのを、邪魔にならない場所で見ている事しかできない。最後に皆でどっちのロープを引くか確認。最後尾のSUさんが今度はトップで降りて行く。つづら岩では半泣きで練習した懸垂下降だが、今回は落ち着いて降りることができた。周りの景色を見る余裕もあり、この雄大な場所でロープに身を任せていることに何とも言えない不思議な気持ちになる。 いよいよ本峰への登りの前に、懸垂下降終了点にあった雪渓に寄って雪を掘って食べてみる。その美味しさと冷たさで生き返るようだった。初めて雪のテントを経験した時は雪を溶かしてお湯を作り、浮いているゴミを茶こしですくって飲む事に衝撃を受けたが、今は雪を掘ってそのまま食べるほどに成長した。

最後の登りも急登で、浮き石もあり気が抜けない場所だった。頂上の祠が見えたときはやっとたどり着いた安堵から涙が出そうになった。憧れていた山の頂は思った以上に広く居心地が良かった。後は下るだけだがカニの横ばいではなく、前剱の下りで事故が多いことを前日にNリーダーに聞いていたので油断せず慎重に下っていく。 それにしてもNリーダーの重責たるやどれほどのものであったことか。ご自身も初めてのコースに私のような未熟者を連れて行くのだ。入念に下調べをして下さったこともうかがえた。私たちはリーダーの進む道を信じて付いて行くだけだが、ルートが分からない場所も多々あった。神経を集中してルートを探し、我々に的確な指示を出しアドバイスを与えて下さる。自分の力で登れたのではなく登らせてもらったのだとただただ感謝。 キャンプ場の近くまで降りてきた時、長次郎谷チームを率いたF代表が迎えに来て下さって、その顔を見たときにまた安堵した。そしてキャンプ場では皆が笑顔で出迎えてくれ、自分たちも疲れているだろうにカレーを作って待っていてくれた。仲間ってありがたい。 一般のコースは皆と大差なく歩くことができるが、バリエーションはそうではなかった。体力的・技術的な差が露呈してしまうことを改めて感じた。岩登りに対する劣等感もあり精進しなければと強く思った。2週間後には二つ目の挑戦、槍ヶ岳北鎌尾根が待っている。緊張感を持続したまま一つ目の挑戦を終えた。

T・Nさんの感想
憧れのバリエーションルート、剱岳の源次郎尾根を登攀してきました。 源次郎尾根は南東から真っ直ぐ剱岳本峰へ突き上げる岩尾根(標高差約1000m)で途中には2つの顕著なピーク(Ⅰ峰2709mⅡ峰2770m)があります。 剣沢方面からは美しいスカイラインを引く背後の八ツ峰の方に目を奪われてあまり目立たない存在ですが、その縦走路は私達にとっては貴重なバリエーション入門ルートであるとともに、Ⅰ峰Ⅱ峰の平蔵谷側壁には剱岳東面を代表する岩壁登攀ルートを擁しています。 昨年の年間計画が発表された時から「劔岳・源次郎尾根」が私の中に印象づけられました。それまで劔岳は別山尾根から登るもの、他のルートは特別な人達のもの、と思っていました。そこへ「アナタも頑張れば連れて行ってあげるよ」と言われた時から憧れのルートとして印象づけられたのです。 あいにく昨年は天候に恵まれず、今年の夏へ持ち越しになりましたが、それが良かった。一年間で未熟ながらロープワークや岩場の懸垂下降を練習したので、岩への対し方に慣れることが出来た様に思います。

山行2日目
朝の4時30分に、源次郎尾根に向けてテントを出発。剱沢雪渓を下り、平蔵谷出合で源次郎の支尾根に取り付きます。ハイマツの藪中を、木の根をつかみながら木登りの様に登り、涸れたルンゼを詰めていきます。ガラガラ石が多く、落石に注意が必要です。 標識や赤テープは無くルートファイトが必要、トップを行くNリーダーは慎重にコース・足場を選んでいます。 尾根に上がると目の前に八ツ峰の絶景が広がりました。快晴の青空、足元に広がる白い雪渓、灰色の岩と青空のコントラスト。Ⅰ峰から一度下り、Ⅱ峰に登り返しながら開放感のある岩稜登攀を楽しむ。 Ⅱ峰に到着すると、いよいよ30mの懸垂下降、すでに他のパーティーは通過した後で我々だけだったので、時間待ちなし、後から焦らされることもなく落ち着いて準備する。 懸垂の支点は鉄杭と鎖で、とてもしっかりしている。 程よい傾斜あり、途中に岩棚もあるので恐怖感なく懸垂下降で下りることが出来た。 気持ちのいい風を感じながら、最高の景色の中での登攀となりましたが、天気が良すぎたのが裏目に出て喉が渇いてたまらない。懸垂下降で下りた鞍部の脇に雪渓があり、カラカラの喉の渇きに耐えきれず雪を掘り口に運ぶ。ペットボトルに雪を詰め込むと冷たい水で一気に元気回復、剱岳山頂を目指しガレた岩場を登る。 崩れやすいので落石に注意しながら山頂まで1時間。ザレ場を詰めると、剱岳山頂にピョッコリと出た。

時間がかかりましたが、憧れのバリエーションを登攀し感動もひとしおです。 下山はノーマルルートの別山尾根を下ります。 標識が有り、鎖や頑丈な梯子が掛けられていて安心ですが岩やザレ場があるのは同じ、気を抜かないように注意して下山。 憧れのバリエーションルートからの登頂は、最高の充実感を味わうことが出来ました。これはグループ面々に気を配り、指導して下さったNリーダーのリードのおかげと感謝です。 実際のバリエーションルートでの行動は実に学ぶ事多く、ロープワーク、岩稜帯での行動技術等、今回も本当にたくさんの事を学ばして頂きました、ありがとうございました。

M・Aさんの感想
私にとっては初めてのバリエーションルートで、しかも剣岳に抜けるとあって、とても楽しみにしていた。 前日はとてもぐっすり眠ることができ、迎えた朝は前日に続いての快晴。会のメンバーは出発準備も整い、皆緊張感に包まれていた。 4時半にテント場を長次郎隊とともに出発、5時45分源次郎尾根取りつきに到着。 先行パーティとの間隔を開けるため、少々待つ。 草付きのアプローチは、踏み跡が一般道のようにしっかりしていて、人気ルートであることを示していた。 Ⅰ峰は花崗岩の快適な岩登り、這松の根などを掴んだ木登り?の連続で登っていてワクワクした。 途中2回ロープを出し、カンテの左が少しのっぺりしたスラブになっているところでNリーダーがお助けヒモを出してくれた。 高度感のある岩場で、ロープなしで登るというのは、やはりアルパイン。一手一足に気合が入る。 Ⅰ峰頂上までは思ったより時間がかかった。日差しが強く焼けるように熱い。 水の残りが心配になる。 Ⅱ峰までは下りと登り返しで思ったより早く到着。 懸垂下降の準備をする。皆冷静でスムーズに懸垂下降を終える。 下降後ロープをまとめて出発。女性陣は水を補充したく、雪渓の雪をペットボトルに詰めたり、雪を食べたりする。 頂上まで1時間とのこと、本当に1時間くらいで頂上に。記念撮影。2年越の夢であったAIさんは、喜びのあまり目が潤んでいた。 グレープフルーツを食べ、14時37分ころ下降開始。 一般道になった途端、鎖、表示が親切に設置されていて、至れり尽くせりの登山道。 途中の一服剣から、女性3M人はトイレに行くため先に行かせてもらう。 F代表が心配して途中まで迎えにきてくれた。 経験もわからないことも多いのに、連れてきていただいてありがとうございました。

T・Sさんの感想
剣岳、 山は最高です!・・・で始まる私ですが!? ここ数回の山行でリーダーの大変さトップを歩く難しさ責任の重みを実感しました。 源次郎尾根では岩を登っているときに転落死の恐怖を感じ、先日の滑落が影響しているのかもしれません。 その後は手で支えながらバランスを保つこととなり疲労が早く表れました 先頭のNリーダーが華麗に岩を登っていく、的確な指示を与えリードする リーダーからビレイの指示???何をすればいいの? ARさんが手早く準備する。 リーダーがロープを持って登る時にビレーすること事態分かっておらず、悔しさより 恥ずかしさが強くありました。 自分は最後を進む。最後尾の責任とプレッシャーに少しずつ遅れていく。 4人のルートを見ているはずなのに岩に取り付くとルートが見えない、 後ろに誰かいれば右だ左だと指示があるはず・・・甘えている。 自信(過信)が脆くも崩壊。 剣岳は楽しみにしていましたが登頂した実感がありません。 懸垂下降やカニの横バイ等本来は記憶に刻まれるものですがリーダーや仲間に必 死に着いていっただけでした。 昨年の剣岳は天候に恵まれず中止となりましたが、私は長次郎沢を登頂するグループでどうして源次郎尾根ではないのか不満もありました。 振り返れば当然なのですが、次の山行、北鎌が不安になっている。 大丈夫だろうか?



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