槍ヶ岳集中(北鎌尾根)

 

2015年8月14日~16日

槍ヶ岳北鎌尾根

平成27年8月14日~16日
参加者5名

今年の計画山行で一番神経を使った槍ヶ岳山行。北鎌尾根パーティ5名、大キレット越えパーティ3名 計8名での参加者を無事に目的を終えるには周到な知識準備をした。 槍ヶ岳から大キレット越えにはNリーダーに女性2名がパーティとなり女性が初めての槍ヶ岳にキレツト越えが加わる。技術的には今までの山行でスキルアップしているので心配はしなかったが天候が途中で悪化した場合に逃げ道がないので冷静に対応できるかと言うことが出発1週間前から沸々と湧き上がってくる。詳細はNリーダーからの記録を読まれたい さて北鎌尾根パーティはFリーダーに4名(男性1名に女性3名)が付き水俣乗越経由で北鎌沢出会いに向かうルートを取る。

Fとしては5回目の北鎌尾根となり50代に単独で貧乏沢から登頂し、数年後に無償ガイドで山形の60歳の女性を貧乏沢から登頂し、1999年に会の計画山行で湯俣から7月に実施した際に会員の滑落怪我で敗退し、リベンジで8月に単独で湯俣から入山、このときは西丹沢の玄倉川でキャンパーが流され多数の死亡者が出た日で同じ日に北鎌へ入っていた。長野の方は晴れていたが関東地方では集中豪雨になつていた。湯俣からのルートの単独は沢の渡渉が何度があり貧乏沢とは比較できないぐらい悪く、1回激流に流されながら対岸にたどり着く。 夕方北鎌沢出会いに近くなった頃から雨になり出会いでビバークとなる。 翌日は天候が曇り北鎌のコルに向かう。コルに着くと雨が降り出し行き詰った夫婦がおり、その夫婦が戻るにも戻れずついには同行させることになる。更に単独男性が独峰手前で行き詰まり合わせて同行させるようになり3名小雨の中槍の山頂を目がけるようになる。

ルートが探しづらく独峰のチムニーを越えてからは往ったり来たりで相当時間を要す。槍の山頂直下のチムニーに着いた頃は薄暗くなりヘッドランプを点けてのクライミングで3名を攀らせる。山頂経由で肩の小屋に着いたのが夜8時。命の恩人と言われ、そんな厳しい北鎌尾根であった。 その数年後に会で6名にて貧乏沢経由で再度訪問したときは経験豊かなザイルパートナやクライミング経験者なので楽しく登り終えた。 全ての経験でわかったのは北鎌尾根は天候が良くてもその都度ルートが違うということである。それだけクライミング技術よりルートを正確に見極める技術が大事ということである。事故の大半は疑わず無理に突っ込んで行き詰まり転落事故を起こしてしまうことである。 過去4回の経験を持っても北鎌に行くときは1週間前から神経が高ぶり寝不足になる。

8/13(木)晴
夜10時新宿スバルビル前に8人集合。明日の天気は台風崩れの低気圧が近づき雨が予想される。土日は快晴と予想されているので実施。 一路、松本インター経由沢渡に向かう。夜中2時30分に沢渡に到着し一番バスの5時まで仮眠する

8/14(金)雨
午前5時に曇りの中バスに乗り上高地に向かう。途中から雨となり予想はしていたが濡れて歩くのは嫌なものである。30分で上高地に到着し6時の出発頃には雨は上がりホッとする。横尾までの林道を3時間。大曲の分岐まで3時間弱、途中、雨が降り出し雨具を着けてのアプローチとなる 午後12時に大曲に着きキレツトパーティとお互いの成功を願ってエールの交換。雨は上がり時折青空が見え隠れする。水俣乗越まで1時間30分強の所1時間強で到着。直ぐに天上沢めがけて下降を始める。初めの100mはブッシュを掴みながら急勾配のザレ場を下る。直ぐに右側にしっかりした登山道がありホッとする。天上沢に合流するまではガラ場でペースが上がらない。急いで浮石に乗り捻挫をしては先が進めなくなるので慌てないように下降する。午後3時過ぎに天上沢と合流。そこからビバーク地点の北鎌沢出会いまで30分近くある。午後4時前にテントが10張り近く張られている北鎌沢出会いに到着。この頃には青空が大きく広がり明日からの天気に期待を祈る。 5人テントの張れる河原の砂地を探しテントを設営。水は直ぐ近く。暗くなる前に外で食事を終え午後6時30分の明るい内に明日に備え就寝。

8/15(土) 快晴
シュラフカバーに雨具とダウンのみ。標高1800mのビバーク地点は放射冷却も手伝い夜中の11時頃から寒さで目が覚め後はウトウト状態。 朝3時起床 朝食を摂りテントを撤収して明るくなった出会いをスタート。 20人近くいたビバーク地点は当会含めて8人ぐらいになっていた。 前日は雨上がりだったので北鎌沢は水量が多く流れていたが一晩経過すると大方水は引いていた。アタック日という事で事故防止の為に慌てないこと、北鎌のコルまでは基本的には右へ進み、上部は草付き帯なので右壁・左壁に行き過ぎないように誘導する。先頭はS君と2番目にA嬢を間に2名の女性会員を挟みラストにFが入る。ルート迷いが起きたときに先導を2名で相談させ間違っていなければ言葉を入れないように1週間前から考えていた。北鎌尾根はペンキマークの無い総合力が求められるコースで会員を育てる良い場所でも有る。 ガイドに連れられるとその育成が出来ない要因にも有る。約3時間で北鎌のコルに到着。ここからトレースのある天狗の腰掛まで1時間。順調に進む。

天狗の腰掛から独峰の基部までは判りずらいルートもあるが先導2名制で相談しながらルート工作をし午前11時過ぎに到着。Fは基部までもう少し時間が掛かるかと思ったが基部のトラバースルートにある緑の補助ロープが現われ予想外であった。ビバーク地点から6時間で到着である。ここから北鎌尾根の醍醐味である山頂まで緊張感の持続が求められる。トラバースの入り口は補助ロープですんなり通過し間もなくオーバーハング岩に到着。ハーケンがビレーの為にベタ打ちであるが千丈沢側の30cm下のスタンスに乗せればハング岩を避けられる。なれない会員は四つん這いになって通過。いづれにしてもザツクを小さくする意味が此処にある。ここから100m位トラバースすると残置スリングのあるチムニーに出る。ここをSをリードにしてロープを張る。5m位であるが万が一スリップすると致命傷になる場所である。5人全員通過すると稜線めがけてザレ場とハイ松を利用して3点確保でノーザイルで登る。稜線からの落石に時折、動きが停滞。時には罵声を(後で単独者が謝ってきた) ルートが何処でも取れるので上に上に進むがガレ場と変わるので微妙な場所に 進路が危うくなる。基本は稜線伝いとの指示をし兎に角稜線を目指す。

稜線に12時過ぎに到着。大槍・子槍・孫槍がまだこの地点では遠くに見えた。 次の核心部はP13のザレ場である。遠くに白くザレているのが見える。 そこまでは基本稜線伝いであるが全て稜線を通る訳ではなく千丈沢側を下降したり登り返したりしながら進む。天気が良い場合は稜線に帰りやすいがガスって入るとルートミスが起きやすい地点である。今回はここまで2名の先導は悩みながらも順調に進む。P13のザレ場に到着。単独の先行者が正面の中央クラック部を避けてトラバースルートに入って行った。途中で行き詰まり事故の起きている場所で先行者にルートの違うことを大声で指示し直ぐに戻らせる。 直ぐに我々がP13の基部に取り付きロープの準備している間に単独者に正面中央クラックの取り付き方法を説明し3点確保していけば登れる旨で先行させる。当会はガイドもロープを張り安全を確保する所なのでSにリード次にAを先に登らせビレー点のポイント作りを2人で確認させ後の3人を登らせる。 遠くから見た感じよりホールド・スタンスはしっかりしている。しかし独峰と同じく万が一滑落すると致命傷になるので安全策を取る。 P13を過ぎると大槍も大きく近づき北鎌尾根も終盤に入る。午後2時を過ぎ 緊張で疲労が見えないが疲れの頂点が近づいている。

此処からは北鎌平までP15をトラバースして巻いて行く。途中から北鎌平目掛けて登りやすい所を探す。時折ケルンがあるとホッとする。北鎌平に午後3時過ぎに到着。時間的には遅れていない。どうにか明るい内に小屋に到着できる見通しがついた。 大槍の取り付き点から大きな岩を渡りながら高度を稼ぎいよいよチムニーに場所に到着。補助ロープがぶら下がっておりリードのSに攀り方を説明し登攀開始。20mの地点でビレー点を作り、2番目にA嬢を攀らせ、以下3人を続けて終了点に。5人揃ってロープ回収しあと1ピッチで山頂である。このころからガスが出始め冷えてくる。頂上直下の2番目の5mのチムニーに到着。S君、A嬢をフリーで攀らせ、ここでロープを出し、残り3名を攀らせる。 腰がらみでビレーをしているのを見て背中にピンが2本あるのを指摘。仮に滑落しても大きなテラスなので致命的にはならないが腕には相当テンションが掛かることであろう。 5人揃い残り数mで山頂、初めての北鎌からの槍ヶ岳登頂に3名を指名して先に行かせるが誰も居なかった。午後5時10分山頂に到着。12時間に渡る苦闘を終える。単独者2名が我々の後について到着し我々と互いに握手し褒めたたえる。するとブロッケン現象と虹が見え天までが祝福する光景が描かれた。 記念写真を撮り直ぐに下降し、槍ヶ岳山荘は混むので殺生小屋に向かう。午後6時10分に安全帯の山小屋に到着した。5人を無事に登頂し安全を期してロープを張りながら大きな遅れもなく予定時間13時間で1日を終える。 夕食で祝杯をあげ疲れもあり8時前には就寝する。

8/16(日) 快晴
朝5時小屋をスタートしキレツト越えパーティとの合流の為に横尾に向かう。 横尾で午前9時前に合流しお互いの成功に硬い握手をし称える。 上高地までの道は満足感に言葉が切れなかった。 昼前のバスに乗り沢渡のいつものお風呂で汗を流し着替えて一路東京に向かいお盆の帰省渋滞にはまりながらも夜8時に新宿に着き係りの責任を全うした。

総括 北鎌尾根のルート工作はS君とA嬢の2人に先導役として委譲したが予想以上の働きで安心した。先導として迷いながらもほぼルートミスは無かった。 そしてなによりも無理な突っ込みも無かったので注意することも無かつた  し危険を感じることは無かった。事前のルート工作の注意事項を守ってくれた結果と感じている。                                            記録 Y・F



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