奥黒部 赤木沢

                平成28年8月5日(金)~7日(日)

                参加者 13名

夏合宿、奥の廊下黒部川支流赤木沢に平成17年の夏合宿(参加者5名)以来11年ぶりに訪れた

当時の記録によると天気は快晴で12時間の遡行時間。今回と同じぐらいに掛かっている。大きな違いは今回は13人の遡行者であることである。多くの過去の記録を読んでいるがガイドツアーでも13人は読んだことがない

薬師沢の小屋で準備していて「登山教室ですか」と聞かれるぐらいだから珍しかったのであろう。

赤木沢は山岳会に入っていれば一度は合宿を組むほどの名渓で、日本でも指折りに数えるほどの美渓と言われている。ガイドもツアーを組むほどである。しかし赤木沢に入るまでは黒部川を遡行しなければならず、沢登りである以上、雨での増水で判断を誤って溺れる遭難事故も起きている。

係として実施計画前に思考したのが

①     薬師沢小屋から黒部川に入り赤木沢出合までの予定時間1時間40分をどのくらいで通過出来るか

②     黒部川の遡行に渡渉・へつり・高巻きを初めての会員をどのように安全に通過させるか

③     水量は2日前から雨が降っていないので例年並み。通常なら深いところでも女性で腰より少し上ぐらい。ただ慣れない渡渉で時間を掛けないで通過できるか

④     黒部川の水温は低いので体調を崩す会員がいないか

⑤     赤木沢に入って滝が続きロープを張るべき場所にリーダー・サブリーダーが適切に判断できるか

⑥     過去事故のあった赤木沢大滝の高巻きを安心して通過出来るか

この点が出発前から脳裏を駆け巡る。

結果は天気にも恵まれ赤木沢出合まではYの渓流シューズの底剥がれの対応に少し時間を要したが2時間弱で黒部川を通過し赤木沢出合いまで来られた。赤木沢に入ってからは水量が一気に減り、滝や滑(ナメ)を流れる水を楽しむぐらいに綺麗である。天気が良いので来て良かったと思う情景である。山に行き、特に沢登りの日に快晴無風の大当たりの日は【合宿に来て良かった】と思う参加者全員の岳人の性(サガ)であろう。

初めて奥黒部に入り薬師沢小屋を境に下流を上の廊下(黒部ダムまで)、上流を奥の廊下と言い更に黒部川の一滴がワリモ岳と祖父岳のコルに繋がる。下の廊下は黒部ダムから下流に阿曽原温泉経由して欅平まで。

雨が降ったり曇っていると黒部の美しさが半減してしまいますが今回の参加者は恵まれた。

赤木沢の終了点は今回は赤木岳直下を選び、這い松のヤブ漕ぎの洗礼を受けないで稜線に出られた。太郎小屋へは少し遠くなるが一般道なので歩きやすい。

8月4日(木) 晴れ

22:00 武蔵浦和駅西口タクシー前に集合し2台の車でスタートする 北陸道に入り有磯海のサービスエリアで恒例だと時間調整をするが折立のゲートの開く6時までの順番待ちがあるのでゲートまで進める。午前5時前に到着。平日の金曜日でも既に10数台待っている。

8月5日(金) 晴れ時々曇り

午前6時に有料道路のゲートが開き、折立のキャンプ場登山口までの20㌔を40分掛けて走る。駐車場は満車で臨時の所までは500m離れている。疲れて帰って来た時のことを考え、駐車場の端に停め、共同装備の配分をする。午前7時30分過ぎに準備を終え太郎衛平小屋に5時間掛けて向かう。初日は睡眠不足とテント泊の重荷で毎回のように足が重い。13人なのでバラバラに到着すると思いきや予定通り12時30分過ぎに太郎衛小屋に到着。薬師岳の一角が見え隠れしている。久しぶりに奥黒部に来たと言う叙情を感じる。

此処から薬師峠のテント場まで下りで20分。午後から夏山特有のガスが出て夕立も心配され有志での薬師岳へのアタックは誰も手を上げなかった。テント場で販売している冷えたビールに心は動いていた。到着時間が予定より早かったので水場・トイレに近い動線にテント2張を建てる。薬師峠のテント場は斜面なので大きなテントを立てる場所が限られ、遅く到着すると平ら所が見つからないので名高い。

設営後、慣れた食当の女性陣による食材の仕分けが始まり、男性陣は3時過ぎに販売するビールを購入し、初日の慰労会が始まる。寒くも暑くも無く外で話が進む。明日の赤木沢に向けて明るい内に夕食を終え、装備のパッキングを済ませる。明るい6時過ぎに就寝に入る。

8月6日(土) 快晴

午前2時30分起床 朝食後、午前3時50分暗い内に出発、20分で太郎衛小屋に到着 明るくなり黒部の山々がモルゲンロートに染まり始め、沢登りには絶好のコンディションを山の神は与えてくれた。薬師沢小屋まで2時間強の下りである。高山植物や薬師岳の山並みを左手に見ながら遠くには黒部五郎、水晶岳を仰ぎ見る。午前6時過ぎに薬師沢小屋に到着。沢登に行く人の準備・雲の平に行く登山者で混んでいた。

1時間近く掛けて渓流シューズに履き替えたりハーネスを装着したりして始めての会員への装備の確認をし記念写真を撮り、午前7時過ぎ黒部川へ13人全員の一歩が入り遡行が始まる。赤木沢の出合いまで人数が多いので2時間弱と予定。黒部川の水量は平常時と同じ。水温はさほど冷たくは無いが、水の中で待機していると流石に冷えてくる。右岸・左岸を渡渉しながら時にはへつたり高巻を繰り返し遠くにナイヤガラの滝が見え

赤木沢の出合が近いことを知らされる。予定通り2時間で赤木沢出合に到着。黒部の本流と別れ、支流の赤木沢に入ると日当たりが良くなり水量も一気に減りナメが多い分青い空に茶色の岩と水が美しく映える。これぞ赤木沢の美渓と言われる所以(ゆえん)である。参加者の多くが初めてで、この名渓が見られたことは思い出に残ると感じる。大きな滝は高巻き、小さな滝は自由に滝登り、個々が水と戯れながら高度を上げていく。出合から4時間で大滝に到着。ここは2008年9月にガイドが4人を連れてノーロープで高巻きしている時に60代の女性が滑落死亡事故を起こしている。男性が登れるステップでも小柄な女性では踏めないステップに先導が気がつかないところに原因がある。当パーティも同様なことが言える。先導がロープを持っている時、もし此処で滑落したら止まらないと感じたら、積極的にロープを張るべきである。小柄な女性は無理して足を上げようとするので、もしホールドはずれたら致命傷である。今回はお助け紐で吊り上げたが遅れた女性の集団だったら

この判断が出来なかった。一番緊張したところであった。

大滝を過ぎ暫くすると水量が一気に無くなり沢登りも終了点が近くなる。稜線が上のほうに見え、涸れた3俣の支沢が出て真ん中の沢を詰める。渓流シューズ・ハーネスを解除しハイキングスタイルに切り替える。急な草原を抜けると赤木岳近くの稜線に到着し全員が揃って午後2時過ぎ怪我も無く遡行を終了。真下には雲の平・水晶岳・黒部五郎岳・薬師岳等黒部の山々が綺麗に見える。夏の午後はガスが出て見えにくいが今回は綺麗に見えているのも、山の神のご褒美。

休憩後2時間強掛けて太郎衛小屋に向かう、既に行動時間は11時間超えている。エネルギーの無い行動食に身体は悲鳴を挙げる。早くビールが飲みたい。午後5時前に小屋に到着し女性陣はそのまま薬師峠のテント場へ進む。男性陣は走破祝に先に生ビールで祝杯しテント場へ。夕方6時前に全員揃い、脱落者なしの13時間の激闘を祝う。夕食を交じりながら思い出話に更け、8時過ぎに就寝する。

8月7日(日) 晴

午前2時起床し朝食を摂りテント撤収し午前4時30分過ぎに薬師峠を後にする。夏休みの日曜日と言うことで

登りの登山者が多く下りでの順番待ちで時間が思うように稼げない。午前8時30分頃駐車場に到着し荷物を整理し、吉峰の温泉に向かう。10時開店に少し早く到着し3日ぶりの汗を流した。その後魚津に回り新鮮な海鮮丼を賞味し一路帰京する、途中高速道路が事故渋滞に3箇所ぶつかり、夜8時に武蔵浦和に到着し今年の夏合宿を終える

記録 Y・F

 



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