夏穂高合宿(北穂高東稜)
平成29856
参加者17 

夏山合宿は土日での穂高となり、17名の多くの参加者となる。バリエーションルートの北穂高東稜に9名、一般ルートの南稜に8名に分かれて計画しリーダー会で了承を得る。

北穂高初めての会員も4名おり参加者は実施前から期待と不安で葛藤をしていた事と察する。バリエーションの北穂高東稜を率いるF9名全員を登頂させるのに過去の記録を読みあさるが1件も無い。多くても5人であり記録によっては涸沢からスタートして4時間~7時間と幅がある。人数が倍の9人となると時間が読めないのが正直な所であった。

7年前に前穂高北尾根に7人で当会で登ったときは、3峰で単独者の転落事故を目の前で目撃し、救助依頼などで現場で待機した。ヘリコプターに遭難者の位置などを手信号で指示しピックアップ後、3峰を3ピッチのロープワーク。女性3人を含む7人を3本のロープを屈指するのは大変難しかった。7人を滞留する場所が無いからである。救助依頼で2時間弱滞留した関係で、その日のうちに上高地に下山できず、岳沢で1泊する事になった。アルパインは時間より安全を最優先の原則に基づく。そんな過去を考えながら、シュミレーションをして3日前には、7時間あれば遅くても通過できると読んだ。問題は月曜日に仕事があるという理由で日曜日に遅くなっても帰らなければならない参加者である。

南稜ルートパーテイは午後4時過ぎには普通に歩いても上高地に着くと読む。バリエーションは朝4時にスタートして7時間だと山頂に午前11時、上高地のタクシーはゲートの閉まる時間を考慮すると夕方730分に着かないとならない。しかし沢渡の駐車場に8時着いたら其処から新宿まで4時間。如何計算しても深夜になり2名の女性が最終電車に間に合わない事になる。朝一番の電車で帰れば仕事には行ける旨を説明。バリエーション東稜を選ぶか南稜を選んで早めに新宿に帰るかの選択肢を本人に決めさせる。都合の良い話は無い。東稜を選んでも更に課題は午前11時北穂高に到着してからの下山時間は飛ばしても7時間は上高地までかかる。それだけの体力と精神力を持続しなければならない。これだけは東稜に参加するする以上求められる。

バリエーションに行くと、Kチーフリーダーが『連れて行って貰うなら行くな』と言うことの意味が理解できる。次に東稜コースはロープが宙に浮くようなナイフリッジを通過する。そのような場所の画像を予め観て研究してくるから、ネット病とも言うかビビッてしまう。普通バリエーションに行くときは『そんな場所を歩けると思うと楽しくなる、普通の人が来られない所を自分が歩く』そう考えられるようになれば成長である。安全は先輩会員がロープセットする。山岳会員であれば一度は先輩達とともに恐怖感を共感しそして後輩達へ伝承していく。

ゴジラの頭では15mの懸垂があり、懸垂に自信の無かった2名の女性は前日の涸沢小屋のヘリポート前で1時間訓練して、それが実り安心して懸垂下降をした。

<記録>
8/4 新宿スバルビルPM10時・・ 沢渡仮眠AM230
8/5 沢渡(タクシー) AM530分・・上高地AM620分・・
横尾AM915分・・涸沢小屋PM1230

8/6 涸沢小屋AM4時・・東稜分岐AM5時・・ Y字ルンゼ右俣経由・・
・・東稜取付AM6時・・ゴジラ頭懸垂終了AM830分・・北穂高山頂
AM9時・・涸沢AM1130分・・横尾PM2時・・上高地PM445・・
・・沢渡PM510分・・新宿PM102 

<記録の内容>
8/4 天気曇り
新宿を予定通り出発し、4時間で沢渡駐車場、朝4時まで仮眠とするが暑くて寝られずウトウトして4時を迎える 

8/5曇りのち晴れ
朝5時20分に予約したジャンボタクシーが1台到着し先行。2台目が540分過ぎに到着し続く。6時過ぎに上高地に全員到着し準備し一路、涸沢に向かって出発。大正池付近ではガスっていたが上高地に入ると晴れて、気分は爽快。横尾経由で12時過ぎに涸沢小屋に到着。予め17名予約してあったので1部屋貸し切り。荷物を整理し、ヘリポート前の石垣で1時間30分ロープワークの講習。ビナの架け替え、ビナ通し、プルージック、懸垂下降等、明日に備えて実地の学習。慣れた会員が中心になってマンツーマン体制で徹底的に指導する。

3時に終えテラスで懇親会の準備を女性陣が行い、ボッカで上げたアルコールとソフトドリンクで明日の南稜・東稜の登頂を祈念。涸沢カールの大自然の中で17名が思い思いに語らう。430分過ぎに夕立があり小屋の中に入り、夕食まで待機。5時からの夕食は1番で摂れて、夕食後部屋に戻り明日のアタックの説明をし、今夜中に準備を終える。

東稜パーテイは遅くなる可能性があるので南稜パーテイは登頂後先に上高地に先行する。そして東稜パーテイは登頂後SaSu2名を先に下山して上高地までに追いつき、レンターカーに10名で新宿行くように指示する。 

8/6 晴れ
3時に起床。テラスに出ると弱い雨が降っている。アタックするか迷う。出発まで1時間あるので朝食の弁当を摂り、時折様子をみるためにテラスに出ると雨が上がり星空が出始める。アタック決定を告げ、定刻の4時に17名出発。白み掛かり、東稜分岐に1時間で到着。南稜パーテイと別れ、モレーン帯をトラバースしY字ルンゼ右俣に行くよう指示。

途中、雪渓が出てきた、先行するガイド登山パーテイ2名が苦戦しているので、直ぐにアイゼンを装着する。簡単にトラバースする。先行するガイドと100m以上間隔をあけて行かせる。Y 字ルンゼの左俣は雪渓が残り上部は悪く通常は取付かないが過去の記録を読むと初めてのパーテイが判らず入り込み苦戦している。我々はFが2度登っているので南稜パーテイと別れて1時間で多少東稜取付き手前で岩稜とザレ場をノーロープで通過し予定通りの時間で取り付き点に到着。

ガイドパーテイは早く先行しているので順番待ちも無しで取り付ける確信する。取り付き点から右手に本谷がよく見えている。登攀具を付けて15分後に東稜の登攀開始。ゴジラの背中までは岩稜を忠実にロープ無しで登って行く。パーテイによってはロープを張りながらの記録を読むが我々は9人安定した登りを示した。

先頭をSa、間に女性4名、ラストにMoSuが入り、Fが女性陣の間に入りホールドスタンスの確認をする。途中、何箇所か北穂沢側に40センチ幅ステップに乗る場所があるが高度感に負けず女性陣が通過。心配していた所を無難に通過。30分進んだ地点で、トップの動きが止まる。切り立った所で躊躇、Fが5m位フリーで先行する。

大きなピナクルが出たので壁を見るとハーケンが3本あり、ゴジラの背の核心部に到着したことを告げる。50mロープをセツトするように指示。リードSa、ビレーSuで出始めの3メートルの壁を抜けると稜伝いに10m間隔でハーケンがあるのでランニングを取るように細かく指示し、スタートする。

40m位になると無線が届いたり届かなかったりするのでフィックスが張れた時、無線中継用にMoに登るように指示。稜の上でセルフを取り無線中継点を作りリードのSaとFとの連絡が密になった。女性陣Maが先発しビナ通しと念の為プルージックを付ける。1本目ランニングを通過したら連絡がありNaが同様に登り、次に先の準備の指示の為、Fが登り残りの女性2名をビレーのSuに指示しFがリードのSa合流し状況を確認。核心部のゴジラ背は2ピッチあると思ったが5m先は懸垂下降地点。50mロープなら1ピッチで抜けられることが判った。

少し時間に余裕が出来たので、後続の女性IEのナイフリッジの通過を見守った。ロープが宙に浮かぶ場所で、風があると高度感のあるナイフリッジでビビル場所。しかし2人とも安定して通過。ここを通過すれば懸垂で終了。女性4名全員通過したら、Saに懸垂のセットするように指示、Fが残り男性2名をビレーしてナイフリッジ通過。懸垂ロープがセツト出来た頃、ラストのSuが到着し、直ぐに懸垂の女性のエイト環とセルフビレーの最終確認するよう指示、一方でMo50mロープの回収を指示する。

男性陣の動きに無駄な滞留時間が無いようにする。Saに先頭で懸垂を指示して到着後、女性陣4名が順番に懸垂をこなしていく。昨日の講習が効果を出し、注意点を守りSuのチェックで安心して4名とも下降していく。山頂の小屋が目の前に見える。此処からはロープ無しで登れる。女性4名が降りMoを先に懸垂で降ろし、女性4名連れて小屋に向かわせる。Fが最後の懸垂者になり全員核心部のゴジラの背を通過した。1時間強で通過、当初の予定では3時間を見ていたが、女性陣の安定したロープワークで13の時間で通過した。

山頂までは記録では1時間弱であるが、予想外に9人全員同時に30分で北穂高小屋に915分に到着し登攀終了。5時間で攀って来た。過去に9人での記録が全く無いのでどうなるかと思ったが。会の女性陣の安定した動きとロープワーク、そして男性陣ロープセツトに無駄が無かった結果である。通常2~3人パーテイで3時間~4時間なので無駄が無いと思った。ルートミスも無かったのも幸いした。

北穂高小屋で登頂の握手をし9時過ぎには2名を先行し、Moに元気な女性3名を付けて続けて下山。Fが初挑戦のバリエーションで疲れ気味のIとEの女性2名連れて少し遅れてれて9時15分に下山開始。南稜パーテイと無線で確認したら1時間遅れで山頂を後にしている。涸沢経由で横尾で待機していたMoグループと合流。横尾で携帯が繋がり、先行している南稜パーテイに2名先行にNaが入り11名で徳沢をスタートしたとの確認。時間差は1時間以上はあるが予想以上に追いついていた。

上高地でNaを待つように指示しレンタカーグループは沢渡に向かい、更に渋滞が予想するので新宿へ向かうように指示。横尾からMoNaと上高地で合流し、タクシーで沢渡に向かい着替えて於くように指示。最後にFが残り3時間弱、女性2名のがんばりを期待して上高地向かう。上高地に夕方4時45分に到着し休むことなくタクシーに乗り沢渡に到着。Moグループがまだ着替えている最中で、15分しか差の無いことを聞く。レンタカーグループ4時45分にスタートした聞き、全体的には大きな時間差のない事を確認した。汗を拭いて着替えて5時20分に沢渡を後にして、車の中で夕食を摂り、運転手2名で渋滞を通過し夜10時2分に新宿に到着。17名全員最終電車前に帰路について長い1日が終わった。                             記録 Y・F

 



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