北鎌尾根

2017年8月19日(土)~21日(月)
参加者6 

今年の5月白馬主稜合宿から始まったバリエーション山行の総まとめとして日本屈指のコースである槍ヶ岳北鎌尾根の計画を春ごろから練っていた。岳人の憧れである北鎌尾根は基本的な岩登りのセンスが必要であるが、成功の要素は体力と強靭な精神力そしてルートの見極め力と言える。従って天候が要素に関わって来ると、更に成功率と言うより安全率に関係してくる。人数が多くなると時間がかかり、途中、安心の為、4箇所ほどロープを使用するが、要領を得ないと時間が掛かり山頂へ抜けられなくなる可能性があり、途中ビバークとなり得る。過去には多くの岳人がビバークをしている。体力は北鎌沢出合いからルートミス無しで山頂まで12時間近く掛かる。全体の半分はザレ場とナイフリッジ。何処からでもおきる自然落石と人工落石の恐怖。1週間前にはガイドのパーテイのお客が落石で手を骨折し救助されている。これから北鎌尾根に挑戦したい岳人の為に参考になるように。 

記録(コースタイム)

8/19上高地AM5:40・・横尾AM8:15・・槍沢ロッジAM9:53・・
大曲AM11:10・・水俣乗越PM12:30・・北鎌沢出合▲PM15:30

8/20北鎌沢出合▲AM4:50・・北鎌コルAM7:30・・
天狗の頭AM9:50
・・独峰基部AM11:00・・北鎌平PM13:55・・
槍ヶ岳PM16:30
・・槍ヶ岳山荘PM17:00

8/21槍ヶ岳山荘AM5:40・・横尾AM9:15・・上高地AM11:30 

記録
8/18(金)
新宿スバルビル前を夜10時にスタートし沢渡に深夜2時過ぎに到着し、仮眠する 

8/19(土) 曇り時折雨
上高地行一番バス、朝5時に乗り5時30分ごろ上高地に到着。雲が低く時折、雨を感じる。

5時40分にスタート。2週間前の穂高合宿は小屋泊で荷物が少なくルンルンで上高地街道を歩いたたが今回はビバーク泊で荷は軽くしたとはいえ、それでも夜行の疲れで荷が肩に感じる。徳沢手前で雨が強くなり雨具を着ける。一般ルートなら此の段階で迷うことは無いが、北鎌尾根となると判断に迷う。Fは7回目の北鎌尾根で雨の時も登った経験があるがルートの見極めが半端でない困難さがあった。このときは湯俣からが単独2回目の挑戦で、初日は天候が夕方から夕立で北鎌沢出会いまで、増水で躊躇しながら、日没ギリギリで出合いでビバークした。翌日は小雨の中、山頂に向かったら北鎌のコルで静岡の夫婦がルートが判らず行き詰まり、動けなくなっておりFに同行させ、独峰の基部で名古屋の単独の中年がこれまたルートが判らず動けずFに同行させた。雨の時はルートが定められない怖さがありFがルートを探しながら3人をリードしヘッドランプをつけてロープを張りながら山頂に着いたのが夜7時過ぎ。壮絶の難ルートになった。このときはビバークよりも小屋に抜けた方が素人3人には安全と判断し無事に小屋へ導いた。

そんな経験がトラウマのように走ったのは女性3人が体力・精神的に途中で雨になった場合、耐えられるかとの不安であった。昨年当会の中堅男性4人の北鎌の報告を受けて、疲れで1人を除いて食事も通らなかったと聞き、初めての場合は珍しくは無い。北鎌に行きたいだけでは登りきれないと思いつつ、天候の様子を観ながら横尾に到着。雨は上がったが晴れ間は見えない。不安を抱えながら大曲にAM11;10分到着。2年前と同じパターンで入山日は雨で大曲から薄日が射して来たことを思い出し、関東地方は天気が悪そうであったが長野方面は【ヤマセ】の影響は少ないと判断し水俣乗越に向かう。1時間で到着、曇りではあるが見通しが良いので下る事を決定。此処を下り始めたらビバーク地点まで2時間30分。途中雪渓が出で、アイゼンを装着、順調にに下る。雪渓は150m位で終了。

その後はゴーロ状の河原をひたすらPM15:30分北鎌沢出合に到着。ここで驚き、今まで水が無いという記録が無い。沢に水が流れていない。水場が確保できない。下流に水の音がするが10分ほどSuと水が流れているが探すが伏流となり出て来ない。諦めて出合いに戻る。一方Sが北鎌沢を登って偵察したら100m位の場所に水が出ていると連絡があり、其処まで水汲みを後で全員で来ることで水の確保を確認した。テントを張り5分ほど掛けて6人全員で水汲みに行き、明るい内に宴と食事を摂り夜行の疲れと明日に備えてPM7時就寝。夜中に天候が心配で10時過ぎにテントの外を見るとガスの中。気持ちがブルーになる。深夜になり、夏のシュラフに入らないで寝ていたら寒さを感じるようになった。「もしかしたら晴れてきたかも知れないと思いテントの外に顔を出すと満天の星、やったと思う。全員期待の晴れての北鎌尾根登らせることができると思った」、その後は3時30分過ぎまでウトウトした。 

8/20(日) 晴
AM3時30分起床 食事を摂りテント撤収し、夜明け前の4時50分にビバーク地点を出発。途中、右俣に入り直ぐに水2.5㍑を確保し一路北鎌のコル目指す。途中で先行パーテイがルートを外れて左尾根に向かっているのでルートミスを指摘し、北鎌が初めてで判らなかったと言っていった。予定通り2時間30分でコルに到着。大休止しハーネス、ガチャを装着。此処から独峰までは木登りは多いがトレーズが明確なので迷うことは無い。途中の天狗の頭で休憩し廻りの景色を堪能する。三俣蓮華、鷲羽岳、針の木岳などアルプスが綺麗に見えている。

天狗の頭から岩稜帯を1時間登ると独峰の基部に到着。いよいよ核心部に入る。先頭にS、2番3番女性そして間にF後に女性、最後にSuの隊列で進む。トラバースの入り口の補助ロープはしっかりしており、すんなり通過。ザレ場のトラバースも天候が良いので滑らず安定して通過。コの字のハング岩も谷側にあるステップを利用することでザツクを引っ掛けることなく安定して通過。最初のロープを張る5m位のチムニーの場所に到着。Sリードロープをセツトに掛かる。古いお助け紐が捨てられ真新しいテープスリングに替わっていた。リードがロープセツトを終えるとエイトノットで女性陣を攀らせる。全員チムニーを越えたら独峰の右側に出る稜線にダイレクトにザレ場を直登する。スリップしたら致命的であるが天候がよいので這い松頼りにゆっくり登るよう指示。此処は落石が一番多い所で常に神経を使う場所の為、常に声を掛ける。稜線に抜けると大槍本峰がドーンと見える。

所謂、槍ヶ岳の裏側である、北鎌尾根に来た人しか観られない槍ヶ岳である。此処からは原則ナイフリッジの上を歩いて行く。途中トラバースして行くことも出来るが稜線通しのほうが楽しい。F はトラバース沿いにも歩いたがルートが決まっている訳ではない。大槍を見ながらP13のザレ場ルート。はじめ階段状であるか後半の5mはザレている為。女性陣がいるのでロープを張るように指示。全員通過し、大槍が目の前に見えてくる、北鎌平が近づき、稜線に沿っていくように指示する。トラバースルートも明確で疲れているとトラバースルートに行くパーテイもいるが今回は稜伝いに。懸垂支点のスリングがあるが、クライムダウンが出来るので微妙な所もあるが全員通過。PM13:55分北鎌平に到着。PM2時に此処まで来れば明るいうちに小屋に着ける見通しが立った。大槍への最後の核心部に向かう。最初のチムニーの場所に到着。ロープセットを指示し15mでロープを張り終え女性陣をエイトノットで順番に攀る。

全員が通過し最後の頂上直下のクラックの7mの場所で4回目のロープセツト。3人の女性が攀りFが続きロープの回収指示して、祠のある槍ヶ岳山頂にPM16;30分全員登頂する。記念写真を撮り小屋に向かって下山開始。槍ヶ岳山荘にPM17時に到着した。Sのルートミス無しとSuサポートで効率よく不安も無く激闘の北鎌尾根の登攀を終えた。 

8/21(月) 晴
朝食を5時に摂り5時40分上高地に向かう。下山はハイペースで上高地にAM11時30分に到着し一路東京に向かい夕方6時過ぎに新宿に到着。 

総括
北鎌尾根は日本でも屈指の好ルートであり岳人の総合的技術が試されると云われている、一度、ルートに入ったら元に戻ることの方が危険で過去に多くの遭難者が出ている。
体力が無ければ致命的で人を頼ることが出来ない。ルートミスに気がつかないで転落するのは毎年発生している。稜線で行き詰ったらルートでは無い。ルートが無いとは言え、ソロで行ける。つまり行き詰ったらルートミス。特に危険なのはザレ場の歩き方。一度滑ったら止められない。滑らない確実な三点確保の登り方をしなければ成らない。
初心者かいる場合は積極的にロープを使用し、安心感を与える。しかしロープの運用にまごつくようなレベルの参加者はパーテイ全員を危険にさらすので要注意これらのことを含んで多くの会員が北鎌尾根に攀つて欲しい。
                                   Y・F

 



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