『横尾本谷右俣 山行記録』
9/22(土)~9/24(月)
参加メンバー:4名(F、T、SY、D)
9月22日(土)7時、新宿駅西口スバルビル前より出発。
途中、諏訪湖SAにてドライバー交代を行い11:30頃、沢渡駐車場に到着。
バスにて上高地に向かう。
前年は天候不良で中止。今年も前週の予定が天候不良により1週間遅らせての実施となった。
当初予定では、前日22時発。早朝よりスタートし、初日に黄金平まで向かう計画であったが、午前中まで雨が予想された為、予定を変更して朝発、横尾テント泊の実施となった。
こんな訳で雨に祟られる横尾本谷であり、今回も行きの車中では、途中青空が見えたり雨が降ったりの繰り返しで一喜一憂する事となった。
沢渡到着時は雨が上がり晴れ間が見えホッとしたが、1時間前までは豪雨だったと駐車場の人の話。
計画変更が吉と出た。
1日目は横尾にテント泊、2日目に12時間以上の長丁場になるが軽身でのアタック。
3日目に横尾から上高地に向かう計画は、好天に恵まれ2日目の長い行程も苦にならず、穂高の楽園を充分に堪能できた。
【行程記録】
1日目:上高地バスターミナル13:00→15:44横尾
上高地バスターミナルから横尾までは約3時間。
晴れ間は見えるが涼しさを感じる中、予定より少し早く横尾に到着。
テントを張り、明日の準備をしたのちビールで乾杯!明日の長時間歩行に備え、
快晴を期待しながら早めに就寝する。
2日目:横尾4:37→5:27本谷橋5:37→7:20二俣7:41→9:15二俣(ルートミスにより二俣まで戻る)9:15→13:00天狗のコル→14:48槍沢・天狗原分岐→16:02槍沢ロッジ16:17→17:30横尾
◇横尾~本谷橋
起床してテントから顔を出し空を仰ぐと満天の星空!好天が期待でき、気持ちが昂る。
まだ暗い4:37に横尾を出発。左手に屏風岩を望めるあたりで空が明るくなってきた。本谷橋手前でヘッデンを消灯。約50分で本谷橋に到着した。
◇本谷橋~二俣
本谷橋からは横尾の本流を沢伝いに歩く。
午前中までの雨が影響し水流が多く、頻繁に高巻きを強いられた。草付きの急斜面で藁をも掴む心地であった。
4人のメンバーは遅れることなく、盆栽岩などブログで見かける名所を順調に通過し、1時間40分で二俣に到着。
◇二俣~黄金平
不覚にも、小休止後辿ったのはなんと横尾尾根に登るガレた沢。薮漕ぎでのトラバースも頭をよぎるが、登ってきた沢を下る事とした。ここで、1時間20分をロスしてしまう。
気を取り直し、二俣から再度ルートを確認して本谷を遡行するが、すぐに大きな岩が現れ水量が増している為へつれずにここでも高巻きを強いられた。
二俣からは右岸の方が歩きやすく渡りたいが、水流が多く渡渉不可。
仕方なく左岸を遡行するが、ここでも高巻きを強いられた。薮が険しく視界が無い為、どこで沢に降りるかの判断に神経を使う。
沢に降りると、沢幅はグッと狭くなり岩はコケで滑りやすく慎重に歩いた。
途中現れた大岩にはザイルがフィックスしてあり、T以外の3名はロープを手繰って大岩への登りを楽しんだ。先頭を行くTは安易に高巻きし、楽しみを一つ失う事になった。
やがて、後方に見える屏風岩が目線の高さまで来ると徐々に傾斜がきつくなり南岳の稜線が望めるようになり、皆のテンションが上がってくる。
◇黄金平~天狗のコル
空が開け、南岳と横尾尾根の稜線が聳え、天国のようなモレーンの丘に到着!
広大なカールは紅葉の始まりでほんの少し色づいていた。
多分あと1週間もすれば紅葉真っ盛りであろう。
涸沢の紅葉にも感動したが、ここはそれ以上!と思われる。しかもこんな楽園のような風景を我がパーティ4名が独占状態というのも最高の気分である。
氷河時代が形成した穂高の楽園を堪能後、名残惜しく向かうカール底から天狗のコルへの最後の登りはまさに天国と地獄。急なガレ場でなかなか進まない。
それでも、稜線が迫りゴールが近い事が気力を奮い立たせた。
◇天狗のコル~天狗原~槍沢・天狗原分岐~槍沢ロッジ~横尾
稜線に辿り着くと迎えてくれたのは槍ヶ岳の勇姿!
この角度から望む槍ヶ岳は一番綺麗な山容と思える。バリエーションルートの終了による満足感と相まって最高の気分にさせてくれた。
4名での記念写真を撮り、大満足の小休止となる。
ここからは一般ルート。しかし気を引き締め次の目的地天狗原に向かう。天狗池には逆さ槍が写り楽しませてくれた。
付近では紅葉が進み、槍の勇姿と紅葉した赤・黄・緑のコントラストに感動し、同じような写真を撮りまくる。
槍沢との分岐、水俣乗越、ババ平、槍沢ロッヂを過ぎ、17:30に横尾に到着。12時間50分の長丁場であったが、アクシデントもなく予定通り日没前にテン場に戻れた。
夕食時の乾杯ビールは最高においしい祝杯となった。
3日目:横尾4:42→7:30上高地バスターミナル
日の出前の4:42にテン場を出発。途中モルゲンロートの明神岳や前穂高に癒されながら3時間弱で上高地に到着。
温泉 :諏訪SA内「 ハイウエイ温泉諏訪湖」入浴料\610-
【感想】
穂高の山々に包まれ、沢を登り詰めて出会った黄金平はまさしく楽園!
本谷の急流がせせらぎに代わる頃辿り着いた場所は、南岳や横尾尾根の稜線が紅葉し始めたカールを包み込み、感動の世界でした。
360度見渡す限り、我がパーティの4名しかおらず、日本一の紅葉と言われ大勢が押し掛ける涸沢のすぐ近くで、こんな貸し切り状態の静けさの中、それでいて涸沢に劣らぬ(個人的にはそれ以上と思える)場所があるとは!
沢の遡行、高巻き、氷河が作り上げた奇跡のカール地帯と草紅葉。
そして、バリエーションの終わりに迎えてくれる迫力の槍ヶ岳!
12時間を超える長丁場の山行が、多彩なシーンの連続で決して飽きる事無く、ワクワクと疲れを感じずに歩けた最高のルートで、思い出に残り再び訪れたくなるルートです。
今回は天候により、予定を変更して横尾ベースで軽身で臨んだ山行でしたが、それが奏功し楽しく歩けたと思われる。このルートを当初計画通りに、テントを背負って歩く事になったらそれは苦痛で、数年前の更に雨という悪条件の中で登られた先輩方には頭が下がります。
記録 KT